1997 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチの関節破壊における神経ペプタイドの役割についての研究
Project/Area Number |
08671659
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐浦 隆一 神戸大学, 医学部, 助教授 (10252769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 健司 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (40271043)
水野 耕作 神戸大学, 医学部, 教授 (90030981)
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Keywords | 軟骨細胞 / サブスタンスP / 関節破壊 / メタロプロテアーゼ / ストロメリシン / 慢性関節リウマチ |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)では、疼痛時に神経終末から放出されるサブスタンスPが、関節軟骨細胞からのストロメリシンやコラゲナーゼの放出を増強することが明らかとなった。さて、この疼痛の発現にはプロスタグランディンが重要な役割を演じているが、アラキドン酸カスケードの律速段階として重要なシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)は、炎症性サイトカインの刺激により誘導され、疼痛の発現に関与している。平成9年度の研究では、まず、神経根性疼痛を主徴とする腰椎椎間板へルニア組織におけるCOX-2の局在とその発現を検討し、神経根性疼痛の発生におけるCOX-2の関与を考察した。組織学的に検討したところ、ヘルニア組織内の髄核細胞にはCOX‐2、IL-1βおよびTNFαの局在が認められた。またRT-PCR法を用いて検討したところ、椎間板由来細胞をIL-1βおよびTNFαで刺激するとCOX-2 mRNAの発現が誘導された。そしてこの手法を用いてIL-1βおよびTNFαで刺激することにより、RA滑膜細胞でもCOX-2 mRNAの発現が誘導されることを明らかにした(未発表データ)。すなわち、RAにおいても、炎症刺激により産生されたプロスタグランディンが疼痛を誘発する結果、末梢神経終末から放出されるサブスタンスPが、関節軟骨からのマトリックスメタロプロテアーゼの産生を介して、炎症下における関節破壊に重要な役割を演じている可能性がある。さて、RAでは手指の変形は徐々に進行し、日常生活動作において重大な能力低下をもたらす。そこで平成9年度に、RA患者に対する疼痛誘発を抑制するための関節保護動作指導を行い。この指導の有用性を検討した。その結果、RA患者に対する関節保護動作指導は関節変形の進行を阻止することはできないが、早期RA患者では、疼痛誘発の抑制により関節変形の進行を遅らせ得ることが明らかとなった。
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[Publications] 佐浦隆一他: "慢性関節リウマチ患者の上肢機能(リーチ動作)とQOL" リハビリテーション医学. 33. 784- (1996)
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[Publications] 佐浦隆一他: "慢性関節リウマチ-関節変形へのアプローチ-ADLと変形" 臨床リハビリテーション. 5. 917-922 (1996)
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[Publications] Yoshikawa A et al.: "A mechanism of cisplatin action :antineoplastic effect through in hibition of neovascularization" Kobe.J.Med.Sa. 43. 109-120 (1997)
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[Publications] 幸野秀志他: "慢性関節リウマチに対する外来訓練の効果-関節保護動作指導によるPA患者の関節変形の進行予防の試み" 運動療法と物理療法. 8. 108-113 (1997)
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[Publications] 宮本裕史: "炎症性サイトカインによる腰椎椎間板ヘルニア由来細胞のシクロオキシゲナーゼ-2およびインターロイキン-1βの発現" 日本腰椎研究会誌. (印刷中). (1998)
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[Publications] Saura R.et al: "Effect of Substance-P on Metalloproteinase lease and Extracellinlan Mattix Accumulatin of Articulan Chendouyte" Bull.Allied.Med.Su(Kobe). (印刷中). (1998)
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[Publications] 坂井毅他: "骨膜由来線維芽細胞の細胞基質産生に及ぼす機械的刺激(牽引刺激)の影響" 運動療法と物理療法. 9. 46-51 (1998)
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[Publications] Saura R.et al: "The 8th World Congress of the International Rehabilitation Medicine Association" Ueda S. Nakamura.R. Ishigami.S, (1997)