1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨肉腫に対するリポソーム封入制癌剤によるターゲッティング療法に関する実験的研究
Project/Area Number |
08671663
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Research Institution | HIROSHIM UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉田 孝 広島大学, 医学部, 助教授 (40235883)
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Keywords | ムラミルジペプチド / 骨肉腫 / リポソーム / ハムスター / 温熱感受性 / アドリアマイシン / 局所温熱 / 放出制御 |
Research Abstract |
1.アドリアマイシン(以下ADR)封入温熱感受性リポソームを用いた腫瘍原発巣の制御を目的として以下の実験を行った. (1)Dipalmitoylphosphatidylcholine:Distearoylphosphatidylcholine=9:1を用いてリポソームを作成し,逆相蒸発法によりADRを封入してADR封入温熱感受性リポソームを作成した. (2)生後3週齢のハムスターの下腿三頭筋内に,教室で継代移植中のハムスター可移植性骨肉腫を移植し,腫瘍の大きさを移植後1,2,3週で計測しこれをコントロール群とした. (3)移植後1週で以下の4方法の治療を行いコントロール群と比較することで抗腫瘍効果を判定した.A群:ADR静注,B群:腫瘍局所の温熱,C群:ADR静注と局所温熱の併用,D群:ADR封入温熱感受性リポソーム静脈内投与と局所温熱の併用の4群である.ADRの投与量は単独投与,リポソーム封入による投与のいずれも5μg/gとした.加温は43℃,30分の温浴で行い,腫瘍内に挿入した温熱センサーで腫瘍内温度を確認した. 2.(1)今回作成したADR封入温熱感受性リポソームのADRの封入率は約20%で,薬剤放出率は41℃で約85%であった. (2)腫瘍移植後2週での相対的腫瘍増殖倍率(移植後2週の腫瘍体積/移植後1週の腫瘍体積)はコントロール群で13.5±6.7であった. (3)腫瘍移植2週後(治療後1週)の相対的腫瘍増殖倍率はA群では6.8±5.8,B群では7.4±4.3,C群では6.7±5.6,D群では1.8±0.5であった.A,B,C群では腫瘍の増殖抑制の傾向はあるものの,コントロール群と有意差を認めなかった.しかしD群では有意(P<0.05)に抗腫瘍効果が認められた.
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