1997 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節への胸鎖関節円板移植にともなう関節の機能回復に関する細胞組織化学的研究
Project/Area Number |
08671692
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
島田 和幸 昭和大学, 医学部, 助教授 (80130524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 悦夫 昭和大学, 医学部, 教授
森山 浩志 昭和大学, 医学部, 講師 (20191059)
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Keywords | 胸鎖関節 / 顎関節 / 移植 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
ヒト胸鎖関節内と細胞外基質中の弾性線維とオキシタラン線維の分布をカラーイメージシステムと免疫ペルオキシダーゼを使用して明らかにした。材料は,顕微鏡レベルの組織化学的解析に適切な,肉眼的および病理学的異常を伴わない成人男性24名(年齢27-70歳)を剖検時に選択した。固定,脱灰後,通法に従いパラフィン切片(前額断で3μm厚の連続切片)を作製し,Elastica-van Gieson染色,酵素抗体法により構成要素(弾性線維,膠原線維,細胞外基質など)の局在と配列を調べた。繊細な弾性線維は胸鎖関節の関節円板中の線維層に散在していた。この関節円板は,胸鎖関節内の胸骨側の円板は膠原線維で構成されていたが,鎖骨側の円板は結合組織を含む細胞成分で構成されていた。関節円板の厚さは,下部から上部に行くに従って,次第に厚くなっていった。膠原線維I型,III型,V型および他の細胞外基質は,胸鎖関節の鎖骨側と胸骨側,さらに関節顆の結合組織中に,肥厚している区域が認められた。細胞活動は,関節円板の胸骨側の表面より頚部側の表面でより強く行われていた。細胞外基質の分布の違いは,さまざまな機能上の特性に関する細胞活動の相違を示している。従って,関節の形態学的特徴を示すには,細胞外基質の出現と分布が重要であることを示している。また,胸鎖関節の鎖骨側と胸骨側の肥厚した部分では,骨基質の再造形を促進する高度なレベルの細胞活動が存在するので,細胞外基質の存在は,骨基質の再造形と成形機能のための最も重要な因子の一つである。以上の本研究で得られた結果と,今まで報告されている顎関節に関する細胞組織化学的データから,胸鎖関節の移植は,顎関節の再建のために可能であると考えられる。
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Research Products
(1 results)