1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671695
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中島 知隆 東海大学, 医学部, 助手 (90227794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 久人 東海大学, 医学部, 助手 (30266423)
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Keywords | 肩関節 / 腱板断裂 / 人工腱板 / 力学的特性 / 有限要素法 |
Research Abstract |
諸言:径0.46mm、15層PET人工腱板の力学的特性を基に、各種上肢肢位おける棘上筋腱への応力分布を有限要素法に計算し、その臨床応用への可能性を検討した。 方法:PET線維の材料定数を用い、モデル下方部を大結節付着部として固定拘束し、変位条件として肩峰下面位置と肩自動外転時における棘上筋腱の引張り負荷を仮想した。プログラムはABAQUS(Hibbitt,Karlsson,and Sorensen,Inc.,Providence,RI)を用いて解析した。45及び90度肩外転位における各回施位(中間位、内・外施45度)での圧応力分布を有限要素法にて計算し、MRI画像より求めたヒト腱板の形態変化との相関性を検討した。 また、滅菌PET腱10ケをWistar系ラットの背部皮下に移植し、無負荷で4および8週間経過した後のその破断応力と最大伸長率を求めて、処女材の初期特性からの変化を明らかにした。 結果:大結節付着部よりも近位筋・腱移行部が、また腱前方部よりも後方部がより著しく変形し、圧応力も上昇していた。こうした腱変形は、肩外転角度よりも上腕回施角度により影響を受けた。PET腱の最大破断応力は埋殖後4週間で76%、8週間で60%に低下した。一方、最大伸長率は有意に変化しなかった。 考察:PET腱の前方部は各種応力に対して良好な耐久性を示した。一方、腱中央・後方部は上肢肢位に応じて変形し、時に折れ曲がりが認められた。一方、肩峰下圧力はこうした形状変化領域に集中して高かった。三次元的線維構造をヒト腱板のそれに類以させることで、棘上筋からの引張り力と肩峰・上腕骨頭間の圧力分布を分散化させ得ることがわかった。ラット皮下に埋殖されたPET腱の破断応力が4〜8週後に低下した以外、耐久性に関して本実験では検討していない。生体内に移植されたPET腱の特性が低下するまでの間に、(1)腱様組織がいつ、いかに侵入するか、(2)侵入した組織が力学的耐性を獲得し得るか、そして(3)再構築された組織内に感覚受容器が再生されるか、について今後検討を加える。
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