1996 Fiscal Year Annual Research Report
手根管症候群における免疫学的、内分泌学的検討-新たな免疫療法を目指して-
Project/Area Number |
08671696
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
寺嶋 博史 東邦大学, 医学部, 講師 (30180079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 史堂 東邦大学, 医学部, 教授 (40126024)
岡田 弥生 東邦大学, 医学部, 助手 (60256758)
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Keywords | 手根管症候群 / エストロゲン / エストロゲンレセプター / リンパ球反応性 |
Research Abstract |
手根管症候群は上肢の絞扼性神経障害の中でもっとも頻度の高い疾患である。本症の臨床的特徴としては、まず圧倒的女性に多く発症すること、妊娠前後、あるいは40-50歳の閉経期前後の二つの時期をpeakとして好発すること、両側発生の頻度が高いこと、本症罹患例には婦人科疾患(子宮筋腫、卵巣嚢腫など)の合併が多いことなどが挙げられる。従って我々は本症の発生および病状の進行に内分泌学的因子、中でも女性ホルモンの関与を想定した。また、RA同様滑膜増殖性疾患であることから本疾患においても細胞性免疫能の異常が推定される。そこで今回我々は手根管症候群において性ホルモン、特にエストロゲンやサイトカイン産生異常と細胞性免疫能との関係を検討した。 (1)患者群の血清中におけるtotal estrogenは閉経前で122.16±47pg/ml、対照群の閉経前185.5±112.5、閉経後203.3±168.3に比較していずれも低値を示した。そこで本症ととエストロゲンとの関係を詳細に検討した。まず、手術時に滑膜性腱鞘および横手根管靭帯組織を採取、これらを細切後10%FCS添加RPMI-1640培養液に浮遊し37℃,5%CO_2下にて培養した。約2週間後から増殖のみられたものを継代し、3-5代継代後の細胞でエストロゲンレセプターの同定をreceptor binding assay法にて行った。今回は滑膜細胞と靭帯細胞のレセプター親和性の相違も検討した。その結果、滑膜細胞からはKD値7.3X10^<-8>、靭帯細胞からはKD値7.3X10^<-10>で3,17 β estradiol receptorの存在が確認された。これは過剰の未標識抗体添加による抑制もみられ、その特異性が確認された。現在、低濃度から高濃度までのエストロゲンを培養時に添加し高エストロゲン状態、低エストロゲン状態をin vitroで作製、エストロゲン添加によるレセプターへの影響を検討している。 (2)本疾患患者での末梢リンパ球の^3H-TdR uptake率は対照群に比較して低下していた。そこで今回は各種炎症性サイトカイン添加、およびエストロゲン添加による^3H-TdR uptake率の変化とサイトカイン産生能を検討した。まず。エストロゲン単独添加、およびPHA刺激時に^3H-TdR uptake率、IL-2産生能に患者群と対照群の間で有意な差がみられなかった。これに対し、IL-2添加による^3H-TdR uptake率の変化をみると、患者群では対照群に比較してIL-2の濃度依存性に^3H-TdR uptake率の増加がみられた。現在、その他の各種刺激因子による影響を検討中である。 (3)患者血清中の各種炎症性サイトカインをELISA法、PIA法で測定中である。
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