1997 Fiscal Year Annual Research Report
脱血時の皮弁内微小循環の変動に及ぼす諸因子の影響について
Project/Area Number |
08671698
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
吉村 陽子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (20129737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 薫 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (80298538)
米田 敬 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40267951)
中島 龍夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40095633)
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Keywords | 脱血 / 失血性ショック / 微小循環 / 挙睾筋 / 高速度ビデオ / プロスタグランディン / ペントキシフィリン / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
急性の大量出血が、皮弁内微小循環に与える影響を確認するため、ラット挙睾筋皮弁を用いて、高速度ビデオにより微小循環を観察した。昨年度の研究で、細動脈の血流速度及び血管径は、脱血とともに急速に減少し、輸液、輸血により速やかに回復するが細静脈及び毛細血管では殆ど変動がないこと、輸血は血圧を脱血前の値より上昇させるが、低分子デキストランは血圧を上昇させることなく末梢の循環を改善する効果があることなどを確認した。今年度は、まず、同一の実験系を用いて、失血性ショックに対する薬剤の効果を観察した。脱血後にプロスタグランディンE1(以下PGE1)を1μg/kg/min静脈内持続注入した群と、ペントキシフィリン(以下PTX)を6mg/kg静脈投与した群とで、脱血後の微小循環の変化を観察した。結果はPGE1では投与後早期より血圧の上昇を伴わず細動脈、細静脈の血流速度を改善し、細動脈血管径を拡張させた。PTX投与群では、血管径の拡張を伴わずに、血流速度の改善が見られた。これは本剤の赤血球変形能の亢進作用による効果と思われた。またPTX投与群では、作用発現に時間を要したが、作用の持続時間は長かった。つぎに、近年血管内皮由来の弛緩因子として知られている一酸化窒素(以下NO)が、微小循環にどのような影響を与えるかを確認するため、NO産生物質であるスペルミン/NO複合体(以下スぺルミン)を投与し、同一実験系でNO濃度と微小循環の関係を観察した。スペルミン投与により、濃度依存性に血中のNO量も増加したが、Noが平常時の10倍の濃度にまで増加ないと、細動脈径に変化は起こらず、生体内では、NO恒常性を保つように働くと考えられた。今後は、さらに失血性ショック時のNOの働きについて検討を加える予定である。
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[Publications] O.Nakane: "The influence of administrated nitric oxide (NO) on the microcirculation" Micro Circulation Annual. 13. 63-64 (1997)
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[Publications] 中根 織絵ほか: "NO産生物質投与が微小循環に及ぼす影響" Progress in Medicine. 17・9. 283-284 (1997)
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[Publications] 高見 薫ほか: "脱血後の薬剤投与による微小循環への影響1-ラット挙睾筋での観察" Progress in Medicine. 17・9. 285-286 (1997)