Research Abstract |
従来,頚の筋力測定に関しては,徒手筋力テストによる6段階評価が行われてきた. しかし,その評価は測定者により差があり一定せず,客観性に乏しかった.そこで我々は,ひずみゲージによる徒手筋力測定器(GT-10)を応用した頚筋力測定器を開発し,健常者における頚筋力を測定し,解析した. 対象は男性78人(年齢18〜37歳,平均22.2歳)女性104人(年齢18〜37歳,平均21.5歳)の計182人の健康成人で,年齢,身長,体重,スポーツ歴を聴取,記載した後,握力,背筋力,頚筋力を測定した.握力は左右2回ずつ計4回,背筋力は2回測定し,いずれもその最大数値を採用した.頚筋力は,被験者を背もたれのある椅子に安全ベルトで固定し,頚は基本肢位のまま徒手筋力測定器(GT-10)2器で前後から固定した.すなわち,頚筋肉の等尺性収縮力を測定し,それを0.5kgきざみで表示した.頚前屈筋力の平均は男女各々15.3kg(7.0kg〜27.5kg)と6.5kg(4.0kg〜11.0kg),頚後屈筋力では24.9kg(11.5kg〜35.5kg)と13.1kg(6.0〜20.0kg)であった.また頚筋力と握力との相関を調べた.スピアマンの積率相関係数のもとで,握力と頚前屈筋力では男女各々0.17と0.23,握力と頚後屈筋力では0.56と0.22,背筋力と頚前屈筋力では,0.15と0.24,背筋力と頚後屈筋力では,0.40と0.34であった.何れも0.70未満であり,有意な相関は認められなかった.これについては,スポーツ歴の内容も考慮しながら今後詳細な解析が必要と思われる.また,頚筋力は前後屈とも最大筋力を数値として採用しているが,最大筋力が出ているかどうかは本人しかわからず,今後,頚筋力出力曲線を導入できれば,さらに客観性が増すものと考えている.
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