1997 Fiscal Year Annual Research Report
不動化骨髄での破骨細胞と骨芽細胞の分化異常の解明と不動性骨萎縮の治療法の開発
Project/Area Number |
08671706
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 講師 (90248576)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
|
Keywords | 不動化 / 骨萎縮 / 骨代謝回転 / 骨髄細胞 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 形態計測 / マウス |
Research Abstract |
不動化した脛骨における骨動態の変化及び骨髄細胞の分化異常に対するヒト副甲状腺ホルモン(以下PTH)間欠投与の効果を明かにする目的で研究をおこなった。 「実験1」(組織形態計測):不動化後の骨動態に対するPTHの効果を明らかにした。8週齢、雄DDYマウスを用い、右後肢坐骨神経を切除し、骨不動化モデルを作製した(Nx)。左後肢は神経同定のみのSham手術とした。PTH投与量は、0(溶媒のみ)、4、40μg/kgBWを設定し、週5回皮下注射した。処置後0、2、4、6週に屠殺し、脛骨近位骨幹端部での骨形態計測を行った。 海綿骨量は、不動化後2週以降で低下した。PTHは、その骨量減少を用量依存的に増加させた。高用量は、スタート時と同レベルを維持していた。骨形成率は、Nx後2週で大きく低下し、6週でもとのレベルに回復した。PTH投与は、その低下した骨形成率を処置後2、4週において用量依存性に増加させた。 「実験2」(骨髄細胞培養):不動化後の骨髄における分化異常に対するPTHの効果を明らかにした。不動化後2、4週で、osteogenicnoduleの形成は低下した。PTH投与は、その低下を用量依存性に増加させた。不動化した骨髄から形成される破骨細胞数は、Nx後2週で一過性に増加した。この増加は、PTH投与で低下した。処置後4、6週のNx、Shamの両側において、PTH高用量は破骨細胞の形成を有意に抑制していた。CFU-f(colony forming unit-fibroblastic)数は、処置後2週の時点においてのみ、PTH高用量で増加した。処置後2週の時点で、PTH高用量は、Nxによる低下したAlkaline phosphatase活性をShamレベルまで上昇させた。 以上のことから、本研究は、神経切除による不動化がもたらした骨量減少に対して、PTH間欠投与は、骨形成を促進し、骨吸収を抑制することによって、予防的に作用することを明らかにした。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] N.Okimoto, et al: "Effects of a weekly injection of human parathyroid hormone(1-34) and withdrawal on bone mass,strength,and turnover in mature ovariectomized rats" Bone. (accepted). (1998)
-
[Publications] 酒井昭典: "卵巣摘出動物からみた骨組織動態の変化と骨髄細胞の分化異常" 日本整形外科学会雑誌(proceedings). 71・8. S1408 (1997)
-
[Publications] 沖本信和、 ほか: "ヒト副甲状腺ホルモン(1-34)週一回間欠投与および休薬が卵巣摘除ラット皮質骨の力学強度に及ぼす影響とその組織学的機序" 日本骨代謝学会雑誌. 15・4. 177-181 (1998)