1996 Fiscal Year Annual Research Report
術後夜間低酸素血症の危険因子・成因・治療に関する研究
Project/Area Number |
08671714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
磯野 史朗 千葉大学, 医学部, 助手 (80212968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田垣内 祐吾 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (90282475)
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Keywords | 術後低酸素血症 / 睡眠呼吸障害 / 睡眠時無呼吸症候群 |
Research Abstract |
近年、術後突然死や心筋梗塞などの関連性も示唆されている術後夜間低酸素血症のハイリスクとなる患者群の特定を平成8年度の目標として、手術前後において睡眠時呼吸状態の評価を行った。 睡眠呼吸障害のパラメーターとしてOxygen Desaturation Index (ODI)を用い、術後のODIと相関のある因子について検討した。患者の年齢・性別・手術の種類・麻薬の使用量・手術時間・麻酔方法・ASAリスク分類・呼吸機能・術前血液ガス所見は、術後ODIとは有意な相関関係が無かった。激しいいびき、日中傾眠、睡眠時無呼吸の指摘など睡眠時無呼吸を示唆する病歴は、術後ODIと有意な相関関係を認めた。また、Body Mass Indexが25kg/m2を超える患者、さらに、術前ODIの高い患者は、術後ODIも高値であった。従って、術前から睡眠時無呼吸が存在する患者は、術後も引き続き睡眠呼吸障害を有することが判明した。術前には、軽症無呼吸患者であっても術後に重篤化し、高度の低酸素血症を伴う患者群が存在することは注目に値する。また、術前に睡眠呼吸障害を有しない正常人のみについて検討すると、正常人であっても、術後にはODIが約2倍に増加し、すべての患者に共通するメカニズムの存在が示唆された。 以上より、術後の酸素需要の増加を考慮すると、術前睡眠呼吸障害を有しない患者であっても、虚血性心疾患を合併する患者や、特に術前より睡眠時無呼吸の存在する患者は、術後夜間低酸素血症により重篤な臓器の虚血に陥りやすいハイリスク患者群であると考える。次年度は、これらハイリスク患者群を対象に、その成因および治療法について研究を進める予定である。
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