1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経損傷後の知覚過敏状態の発生機序に関する実験的研究:膜電位画像解析法と電気生理学的測定の併用による脊髄内機構の解析
Project/Area Number |
08671718
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
冨田 美佐緒 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (60221438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 恵 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10140641)
馬場 洋 新潟大学, 医学部, 助手 (00262436)
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Keywords | 脊髄スライス / 膜電位画像解析 / 膠様質ニューロン / 慢性疼痛モデルラット / 膜電位感受性色素 / 坐骨神経結紮 / ホールセルパッチクランプ |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き成熟ラット脊髄スライス標本からの膜電位感受性色素を用いた興奮伝搬の画像解析に関する検討を集中的に行った。 まず初めに正常ラット脊髄横断スライス標本を用い膜電位画像化解析を行った。脊髄スライス標本からの膜電位可視化信号は、これまで当教室で行っていた成熟ラット脳毎馬スライス標本からの信号に比べ非常に微弱であった。そのために、前年度は興奮伝搬の様子をとらえることは困難であった。しかし、今年度に行った諸条件、例えば照射光量、色素濃度、染色時間、刺激様式などの検討の結果、後根侵入部刺激による脊髄後角内の興奮伝搬の様子をかろうじて観察することが可能となった。 しかし、その反応は微弱なため、後根侵入部刺激で60V、100msec以上の刺激強度を必要とした。この刺激の16回の加算平均により、1〜2ミリ秒の時間経過で刺激部位から脊髄後角の深層に達する早い興奮の伝搬が観察された。それに引き続いて、数秒にわたって後角内を浅層から深層に伝搬して行くゆっくりした興奮が観察された。 これらの結果から、成熟ラット脊髄スライス標本での膜電位画像解析法による興奮伝搬様式の検討は可能であることがわかったが、刺激強度による被刺激線維分別は困難で各一次求心性線維ごとの脊髄内での興奮伝搬の差違を検討することは、現時点では本研究期間では不可能であった。今後、照射光量、色素濃度、染色時間、刺激様式等の実験条件の更なる検討が必要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 冨田美佐緒 他: "硬膜外脊髄刺激" ペインクリニック. 19巻1号. 57-63 (1997)
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[Publications] Okamoto M, et al.: "Electrophysiological analysis of plastic change in rat spinal dorsal horn following peripheral nerve transection." J Electrodiagnosis Spinal Cord. 19(1). 41-48 (1997)
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[Publications] 吉村 恵 他: "脊髄膠様質の機能" 麻酔. 46. 173-178 (1997)
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[Publications] 吉村 恵: "脳機能の解明-21世紀に向けて-" 赤池紀扶他編 九州大学出版会, 175-184 (1998)