1996 Fiscal Year Annual Research Report
新しい神経トレーサを用いた下行性疼痛抑制系神経路の解析
Project/Area Number |
08671748
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
十時 忠秀 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (20038722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 正敏 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (90136482)
平川 奈緒美 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (20173221)
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Keywords | 痛覚抑制系 / 神経回路 / ビオチン化ゲキストランアミン / 脊髄後角 / 三叉神経 |
Research Abstract |
痛覚抑制系神経路の脊髄後角における軸索分枝を形態学的に明らかにするため、ビオチン化デキストランアミン(BDA)をラットの痛覚抑制系神経核に注入し、BDAの順行性軸索内輸送を用いて、研究を行った。本研究は、脊髄後角と機能的に同等である三叉神経脊髄路核尾側亜核(TSpC)の後角における軸索の分枝状態を中心に観察した。BDAはO-1Mリン酸緩衝液で10%にし、ハミルトンのマイクロシリンジで注入した。ラットを定位脳固定装置に固定し、Paxisons & Watsonの脳地図に従い、中脳中心灰白室、縫線核、延髄網様体核のいずれか一ケ所で微量注入した。生存期間は、4〜7日とした。延髄網様体核にBDAを注入した例において、TSpCの海面帯に、やや大型の紡錘形の標識細胞が観察された。長い樹上突起が後角の外側周縁に延びていた。標識終末は、後角の全層に認められたが、とくにI層からIII層に特に多く、それらの多くは糸球体状をしており、神経細胞体の幹受上突起にシナプスを形成していると思われた。後角における標識線維は後角底から表層に延びていき、その途中に前記した糸球体状のシナプスを形成し、さらに後角表層に達し、それらの一部は、標識細胞に近づき、標識終末様の膨隆部が標識細胞にシナプス結合していると思われた。ほかの部位の注入例では、後角底には標識細胞が、さらに後角の全層に標識終末が観察されたが、標識細胞に標識終末が接着しているような結果は得られなかった。以上の結果から、延髄網様体核の働きは、痛みを上位に伝える中継核と痛覚抑制系の起始核だけではなく、延髄網様体核内で痛みの制御が行なわれていることが推測される。
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