1997 Fiscal Year Annual Research Report
ラットでの長期体外式肺補助法の確立とその生体に及ぼす影響
Project/Area Number |
08671751
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡本 泰介 熊本大学, 医学部, 助手 (90191957)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂梨 祐司 熊本大学, 医学部, 助手 (30274707)
|
Keywords | ラット / 体外循環 / ガス交換 |
Research Abstract |
方法:体重250-300g(288±25g,mean±SD)のWistar系メスラット4匹を用いた。 麻酔はペントバルビタール50mg/kgの腹腔内注射で行った。頸部を正中切開し気管を剥離露出後,サーフローカテーテル【○!R】(14G)を気切孔より挿入,ハーバード型小型動物用人工呼吸器を用いてnormoventilationを保った。実験中はGO(酸素十笑気)で麻酔を維持した。送血のため右総頚動脈にサーフローカテーテル【○!R】(24G)を穿刺法で留置した。さらに脱血のため右総頚静脈を剥離後,右鎖骨下静脈分岐部より側孔付きサーフローカテーテル【○!R】(18G)を小児用中心静脈挿入用ガイドワイア-を用いて挿入,上大静脈経由で右心房に留置した。膜面積0.04m^2の小型中空糸外部灌流型人工肺を用い,人工肺と回路をヘパリン添加乳酸加リンゲル液で無血充填後,上大静脈より脱血し総頚動脈へ送血するV-Aバイパスによる部分体外循環を施行した。部分体外循環中の人工呼吸器の換気条件は変えず,人工肺への酸素吹送はFiO_21.0,0.2-4L/分で行った。体外循環時間及びバイパス血流量,並びに人工肺出入口の経時的な血液ガス変化,体外循環中の経時的血液電解質,ヘモグロビン,ヘマトクリット,血漿蛋白濃度の変化を測定した。 結果:(1)体外循環:平均体外循環時間は82.5±61.8分(30-150分),平均バイパス血流量は35.0±3.3ml/kg/分(33.3-40ml/kg/分)であった。 (2)血液ガスの変化:人工肺出口でのPO_2は385〜573mmHg,PCO_2は7.8〜34.4mmHgと十分な酸素加と炭酸ガスの除去効果が認められた。 (3)ヘモグラムの変化:ECLA前値と比較してECLA開始5分後よりヘモグロビン,ヘマトクリット値がそれぞれ6.8g/dl,18.3%と有意に低下したが,その後は変化は認められなかった。 (4)電解質の変化:ECLA前値と比較してKは経時的に有意に上昇した。 まとめ:V-AバイパスECLAにより最高150分間の体外循環に成功した。無輸血充填による血液希釈,溶血による高K血症が生じたが,十分なガス交換能が得られ,ラットを用いた体外循環が施行できた。
|