1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671755
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
高崎 真弓 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (30094212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 博 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80194786)
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Keywords | ブピバカイン / 鏡像異性体 / ロピバカイン / 細胞内濃度 |
Research Abstract |
市販のブピバカインは、ブピバカインの鏡像異性体であるS-ブピバカインとR-ブピバカイン混合物である。現在治験中のロピバカインはS-ロピバカインである。ロピバカインはブピバカインと類似しているといわれているが、ロピバカインとS-ブピバカインを比較した研究はない。本研究は、ロピバカインと、S-ブピバカイン、およびR-ブピバカインの効果をアメリカザリガニの軸索を用いて比較した。 1)活動電位の抑制に関する比較:アメリカザリガニの腹部神経索を取り出し、desheathしたあとチャンバーに固定し、ザリガニ用リンゲル・ハラベルド液で潅流した。微少ガラス電極を軸索へ刺入し、低頻度(0.1Hz)または高頻度(5Hz)の闘値上刺激を用いて刺激し、活動電位、活動電位のdV/dt max,dV/dt minを連続記録した。1mM,pH7.0のロピバカイン,S-ブピバカイン,またはR-ブピバカインのどれかを15分間潅流投与した。低頻度刺激では、3つの薬物で差はなかったが、高頻度刺激では、活動電位,dV/dt max,dV/dt minは、いずれもロピバカインよりもS-ロピバカインで有意に大きく抑制された。R-ブピバカインは両者の中間に位置した。 2)細胞内局所麻酔薬濃度の比較:研究代表者らが開発した細胞内局所麻酔薬濃度測定用微小ガラス電極を、ザリガニの軸索へ刺入し、低頻度または高頻度で刺激しながら、3つの薬物の中の1つを15分間潅流投与したあとの細胞内濃度を測定した。細胞内濃度は、いずれの平均値も0.2〜0.3mMの範囲にあり、低頻度刺激でも高頻度刺激でも、3群間に有意差はなかった。 S-ブピバカインは、高頻度刺激のとき、ロピバカインと同じ細胞内濃度で、ロピバカインより強い麻酔作用を示すことが明らかになった。より高等なラットの坐骨神経の複合活動電位で、同様の結果が得られるか調査中である。
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