1996 Fiscal Year Annual Research Report
心臓の酸素代謝,エネルギー代謝および心機能の同時評価に基いた循環管理の研究
Project/Area Number |
08671756
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小田 利通 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90041342)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 千史 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (00265399)
|
Keywords | 心筋酸素代謝 / 体組織酸素代謝 / 左室左-容積関係 / 心筋収縮性 / 低酸素症 |
Research Abstract |
本研究の目的は,心臓と心臓以外の臓器との相互関係を,主に酸素代謝の面から検討することで,心機能障害を有する症例の管理方針の設定を治療効果の判定に応用することを考えている.平成8年度は,実験モデルを作製し,基礎データを得ることを行った.実験は体重約30kgのブタを使用し,ケタミン,イソフルランで麻酔して開胸し,心室内圧-容量測定を行い,心筋収縮性をEes,心筋-動脈整合性をEa/Eesで測定した.また冠血流量,動脈血および冠静脈血から心筋酸素代謝諸量を測定した.体循環系に関しては,心拍出量(CO),動脈血および混合静脈血から体酸素代謝諸量を測定した.酸素代謝諸量としては、酸素供給量(D_<O2>),酸素消費量(V_<O2>),酸素摂取率(O_2ER),乳酸値,動-静脈血P_<CO2>およびpH較差を測定した.病態モデルとしては,吸入気酸素濃度(F_<IO2>)を段階的に低下させた(0.21〜0.08),低酸素性低酸素症モデルを用いた。 現在まで得られた結果は,F_<IO2>の低下に伴い,(1)D_<O2>の減少は,F_<IO2>0.11までCOの増加で代償された.(2)心筋へのD_<O2>より遅れて低下した.(3)EesはF_<IO2>0.13で低下した.(4)心筋-動脈整合性は改善する方向に変動し,F_<IO2>0.10以下で悪化した. 結論として,低酸素症における体組織へのD_<O2>の減少は,心拍出量の増加で代償されるが,心拍出量が増加している時期に心収縮性は低下する.この心収縮性の低下は,心筋-動脈整合性の改善により代償される.
|