1996 Fiscal Year Annual Research Report
一過性脊髄虚血時のアデノシン受容体拮抗薬の影響に関する研究
Project/Area Number |
08671758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平良 豊 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (60144721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島袋 泰 琉球大学, 医学部・附属病院, 助手 (50226221)
垣花 脩 琉球大学, 医学部, 助手 (10194680)
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Keywords | 脊髄 / 虚血 / ラット / 麻痺 / 低血圧 / アデノシン / テオフィリン |
Research Abstract |
脊髄虚血後に起こる脊髄機能障害の発生機序におけるアデノシン受容体の役割を調べるため、本年度は以下の実験を行ったので、その結果を報告する。 1.脊髄虚血モデルの特性評価 1)大動脈遮断部位の近位側大動脈圧と後肢麻痺発生に要する大動脈遮断時間との関係:近位側大動脈圧を調節しないモデルでは、後肢麻痺発生に要する時間は20〜40分で、しかもラットの個体差による時間のばらつきがみられた。一方、内径動脈圧からの脱血により近位側大動脈圧を40mmHgに調節したモデルでは、後肢麻痺発生に要する時間は10分で、個体差はほとんどみられなかった。また、大動脈遮断時間5分の群では、後肢麻痺は起こらなかった。 2)大動脈遮断時の近位側大動脈圧と脊髄血流の関係:大動脈を左鎖骨下動脈の直下で遮断すると、近位側の大動脈圧は90mmHgから120mmHgに上昇した。そのときの残存脊髄血流は遮断前の12%であった。これに対して、近位側大動脈圧を40mmHgに調節すると残存脊髄血流は遮断前の2.5%と著明に減少した。 3)生理的範囲内での体温変化の影響:大動脈遮断直前の体温を調節し36.5℃、37.5℃、38.5℃の3群に分けて、10分間虚血を行ったところ、38.5℃では全例が完全麻痺、37.5℃では33%に不完全麻痺、36.5℃では66%に不完全麻痺がみられた。生理的範囲内での体温変化が予後に大きく影響することから、実験を行う際の体温管理が重要であると思われた。 2.大動脈遮断後の後肢運動機能に及ぼすテオフィリンの影響 アデノシン受容体拮抗薬であるテオフィリンは脊髄くも膜下腔に投与すると、脊髄からのグルタミン酸の放出を増加させ、また脊髄の血管収縮をきたすことが予想されることから、テオフィリンの脊髄くも膜下腔投与は虚血後の後肢運動機能を悪化させる可能性がある。したがって、この実験では未処置のラットでは後肢運動機能障害を起こさない5分間の大動脈遮断を行った。テオフィリン10μgのくも膜下投与は5分虚血後の後肢運動機能には影響しなかった。今後、虚血時間を未処置ラットでは完全麻痺を起こさない最長の時間に設定してテオフィリンの効果を観察する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yutaka Taira,Martin Marsala: "Effect of Proximal Arterial Perfusion Pressure on Function. Spinal Cord Blood Flow and Histopathologic Changes After Increasing Intervals of Aortic Occlusion in the Rat" Stroke. 27,10. 1850-1858 (1996)