1996 Fiscal Year Annual Research Report
PETスキャンによる全身麻酔中の脳内血流分布の変化に関する研究
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08671769
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 武彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70233880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 秀夫 浜松ホトニクス株式会社, 中央研究所, 研究員
落合 亮一 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (70146695)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 脳血流量 / 自動調節能 / 炭酸ガス / PETスキャン / アカゲザル |
Research Abstract |
セボフルラン麻酔中の吸入麻酔濃度・脳灌流圧・動脈血炭酸ガス分圧が局所脳血流量の変化に及ぼす影響を、アカゲザルを用いたPETスキャンにより検討した。局所脳血流量の測定は、0.5%セボフルラン麻酔時を対照とし、2.0%麻酔によって血圧を約1/2に低下させた時点、およびアンジオテンシンIIにより血圧を対照のレベルにまで戻した時点の三条件で行った。 1.脳血流量の濃度依存性 血圧を一定に保ってセボフルラン濃度を0.5%から2.0%に変化させた際、PaCO_250mmHgにおける皮質後頭葉および小脳領域で濃度依存性の変化が認められた。それ以外の部位では局所脳血流量はPaCO_2レベルによらず有意な変化は見られなかった。 2.脳血流量の灌流圧依存性 2.0%セボフルラン麻酔中、低下した血圧を対照値まで回復させた場合、皮質前頭葉領域のみ局所脳血流量に変化が見られなかったが、他の領域ではいずれも灌流圧依存性の変化が認められた。 3.脳血流量の炭酸ガス反応性 2.0%セボフルラン麻酔中にPaCO_2レベルを低下させる場合、血圧の低下した状態でも正常の血圧でも、局所脳血流量の炭酸ガス応答性はどの部位でも維持されていた。また、各PaCO_2レベルにおいてその応答性の部位による差異は認められなかった。 以上の成果から、2.0%程度のセボフルラン麻酔であっても脳の自動調能は抑制され、部位によってその抑制の度合いに差が生じる可能性がある。セボフルラン麻酔中の血圧の低下や低炭酸ガス血症は、局所脳血流量の減少を招き、部位によっては脳の酸素供給に支障を来す可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)