1996 Fiscal Year Annual Research Report
人工心肺手術中における一酸化窒素による血小板保護作用
Project/Area Number |
08671771
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森田 茂穂 帝京大学, 医学部, 教授 (60143476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 眞一 帝京大学, 医学部, 助教授 (40160832)
市瀬 史 帝京大学, 医学部, 講師 (40276712)
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Keywords | 血小板 / NO / フローサイトメトリー法 |
Research Abstract |
本研究では人工心肺が循環血小板に及ぼす影響がNO投与により軽減できるかどうかを検討するために、血小板表面に現れる糖蛋白p-selectin,GPIIb/IIIaの量をフローサイトメトリー法によって測定することを第一の目標としている。p-selectin,GPIIb/IIIaなどの膜表面糖蛋白は活性化血小板の表面にのみ特異的に出現するマーカーであり、人工肺へのNO投与によりそれらの出現が抑制される、というのが本研究で検証しようとする仮説である。しかしながらフローサイトメトリーをはじめとする機器の立ち上げ、および適切な抗体の準備に予想を大幅に上回る時間がかかり、また、実際の患者から同意をとって行う実験であるため症例数が思うように集まらず、未だ結果を報告できる段階には達していない。平成9年2月末の時点で、コントロール群3例(うち1例はアプロチニン投与患者)、NO投与群2例(うち1例はアプロチニン投与患者)からデータの採取に成功している。この段階では症例数が少なすぎて統計処理もできないが、人工心肺中に血小板膜表面糖蛋白の発現が増加する現象は、程度の差はあれ全ての症例で共通してみられている。また、ここまでは100ppmのNOを使用しているが、この濃度ではNOによる副作用(メトヘモグロビン、NO2、NO3-の産生)は観察されていない。コントロール群の内1例では出血量増加のため同種血の輸血を必要としたが、NO投与群2例では輸血を要するほどの出血は見られなかった。今後、より高濃度のNO(500ppm程度)の使用も含めて検討していく予定であるが、各群20例ずつを当面の目標としているため実験終了までにはかなりの時間を要するものと思われる。
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