1997 Fiscal Year Annual Research Report
外科的ストレス防御機構としての発熱の全体像とその生理学的意義及び麻酔との関連
Project/Area Number |
08671772
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 眞 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (30160849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 千晴 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40189361)
尾崎 恭子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00162561)
新 健治 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60184181)
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Keywords | 外科的ストレス / 発熱 / サイトカイン / IL-1(α,β) / IL-6 / TNFα / INFα / MIP-1(α,β) |
Research Abstract |
手術中にいかに無菌的に操作を行おうとも,手術後1日後に約9割の患者において有意な発熱が観察されるとされています.しかしこの術後の発熱と近年急性発熱応答物質として総称されていますサイトカイン群特に内因性発熱物質として既知の物質であるIL-1(α,β),IL-6,TNFα,INFα,MIP-1(α,β)との関係は不明です.他方外科的なストレス浸襲により各種サイトカイン特にIL-6が,その侵襲の大きさやいわゆる麻酔深度と関係のある動きを示すことが判明しています.本研究におきましては,手術中から術後にかけての発熱反応とサイトカイン群の動向とその麻酔方法による差などを臨床症例やボランティアによる研究により全体像として把握すべく,昨年度は広範な臨床症例におきまして,informed consentを得られた外科手術患者にて術中及び術後の各種サイトカイン及び体温の測定を行いました.本測定には本研究費により昨年度購入致しましたcytokine測定・解析装置(日本インターメッドImmuno Mini NJ-2201)を使用し,cytokine測定試薬キットにより綿密かつ正確な測定を行いました.その結果,特に内因性発熱物質として知られているIL-1(α,β)が,発熱反応と有意な関係にあることが判明しました. それを更に推し進めまして,本年は,米国へ研究分担者の根岸千晴が渡り,ボランティアへIL-2を経静脈的に投与することにより周術期におけます発熱のモデルを確立致しました.またその発熱反応が麻酔薬によりまして,用量依存性に抑制されることが判明致しました.そのボランティアの発熱モデルにおける血中各種サイトカインの測定は我々東京女子医大におきまして,本研究費による測定により綿密に解析されました.その結果の一部を研究発表論文,学会発表などで成果として示し,注目を浴びました.来年度は,本研究の最終年度に当たりますが,このボランティアによる発熱モデルにおける更なる詳細なサイトカイン反応ネットワークの解析により臨床における周術期発熱反応のより病態に密着した測定,解明を行う予定でおります.
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[Publications] Rainer Lenharolt, Makoto Ozaki: "Paralysis only slightly Reduces the Febrile Response to Interleukin-2 During Isoflurane Anesthesia" Anesthesiology. (in press). (1998)
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[Publications] 尾崎 眞: "麻酔と体温管理 in 麻酔科学レビュー'97" 総合医学社・東京, 214 (1997)