1996 Fiscal Year Annual Research Report
ショックおよび虚血再潅流時の一酸化窒素の変動とその対策-臨床評価への応用-
Project/Area Number |
08671773
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 篤裕 日本医科大学, 医学部, 講師 (30196084)
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Keywords | 一酸化窒素 / ショック / 電子スピン共鳴装置 / Hb-NO / スピントラップ |
Research Abstract |
ラット敗血症性ショックモデルと同様な方法で、集中治療室入室重傷患者における血中nitrosyl-hemoglobin(Hb-NO)を測定した。Hb-NOは敗血症患者の時間経過に関係なく実験モデルで測定されたような爆発的な産生過剰を示さなかった。現在、dithioniteを静脈血に添加し、測定感度を上げて測定中である。 また、測定感度の問題か、あるいは誘発型(i)および構成型(c)NOの発現の違いかを検討するため、ラット腸管虚血再潅流モデル(40分間の腹腔および上腸管膜動脈閉塞、平均生存時間90分)において、NO合成酵素阻害薬(L-NAME、L-canavanine)、NOラジカル捕捉薬(carboxy-PTIO)を用いて、Hb-NOの測定を行った。生存時間はcarboxy-PTIOのみで有意に延長した(平均150分)。しかしながら、敗血症性ショックと異なり、爆発的なHb-NOは測定できず、また、cNOの過剰な抑制は、再潅流後の一時的血圧維持を示すも、生存時間を延長させず、また、選択的iNOS阻害薬(L-canavanine)の効果が示されなかった。この結果、Hb-NOは、主に誘導型NOの動向を示すものと考えられ、また、機序および重症度の異なった状態では、cNOの適切な抑制の程度を検討することが重要と考えられた。今後、臓器中のNOすなわちcNOを測定するため、dithiocarbonyl-methylglucamine(MGD)と第一鉄イオンの錯体であるFe^<2+>(MGD)_2生体投与によるNOラジカルのスピントラップよりcNOの変動を検討する計画である。
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