1996 Fiscal Year Annual Research Report
新しいオピオイド受容体の内因性リガンドの単離・同定とその生物活性
Project/Area Number |
08671774
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
今西 敏博 関西医科大学, 医学部, 助手 (70098119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 幹雄 関西医科大学, 医学部, 助手 (40192687)
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Keywords | ノシセプチン / オピオイド受容体 / 内因性オピオイドペプチド / 精製 / 痛覚過敏反応 / アロディニア / 脊髄 / グリシン |
Research Abstract |
エンケファリンやダイノルフィンなどのオピオイドペプチドは、痛覚・記憶・内分泌・自律神経性運動調節をはじめとする多彩かつ重要な中枢機能を担当することが知られている。オピオイド受容体cDNAのクローニングから、薬理学的によく知られている3種のサブタイプμ,8κ以外に第4のオピオイド様受容体(ROR-C)が存在することが明らかとなった。 本研究では、ROR-C受容体に対する内因性オピオイドペプチドの単離・同定に成功し、ノシセプチンと名付けられた新規ペプチドの性格付けを行なった。1)ウシ脳から精製したノシセプチンは17個のペプチドで、ダイノルフィンのアミノ酸配列と相同性を有していた。2)ノシセプチンはROR-C受容体を発現した培養細胞のcAMP産生を抑制した。3)RNAブロット解析から、ノシセプチンmRNAは視床下部をはじめ小脳を除く脳全域に、脊髄においてはLissauer路と後角第1層に発現しており、痛覚反応に関与することが示唆された。4)ノシセプチンをマウス髄腔内投与すると、これまで知られているオピオイドペプチドとは異なり、侵害性刺激により痛覚過敏反応、非侵害性刺激によりアロディニアを誘発した。5)これらの痛覚反応は、抑制性アミノ酸グリシンの同時投与により抑制されたことから、ノシセプチンの作用はグリシンの脱抑制であることが類推できる。本研究は、従来のオピオイド研究の新しい展開の端緒となることが期待される。
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[Publications] Okuda-Ashitaka,E.et al.: "Identification and characterization of an endogenous ligand for opioid receptor homologue ROR-C:its involvement in allodynic response to innocuous stimulus." Mol. Brain Res.43. 96-104 (1996)
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[Publications] Hara,N.et al.: "Characterization of nociceptin hyperalgesia and allodynia in conscious mice" Br.J.Pharmacol.(in press). (1997)