1996 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌に対するv-H-ras抑制変異体N116Yを用いた遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
08671786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠原 信雄 北海道大学, 医学部, 助手 (90250422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 孝義 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (00133827)
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Keywords | 腎癌 / ras癌遺伝子 / 増殖抑制 / 遺伝子治療 / GDP / GTP交換因子 |
Research Abstract |
H-ras癌遺伝子の抑制変異体N116Yは、ras癌遺伝子に対しdominant-negativeに作用し、腫瘍形質発現を抑制する。我々はN116Yが腎癌細胞株に対し増殖抑制を示すかを検討した。 1. N116Yの発現ベクターpZIP-N116Yをリポフェクション法により導入した結果、腎癌細胞株3株で、その増殖はほぼ完全に抑制された。 2. pZIP-N116Yは、腎癌に対し強い増殖抑制効果を有することが示されたが、その効果がneomycin耐性遺伝子の抑制によるものでないことを確認するため、pZIP-N116YとpSV2<neo>___-を遺伝子導入した。その結果、腎癌細胞株2株で、用量依存的にpZIP-N116Yは腎癌細胞株の増殖を抑制することが示された。pZIP-N116Yを高用量で用いた場合、腎癌細胞株6株の著名な増殖抑制効果が認められた。 3. N116Yの細胞内targetと考えられているras GDP/GTP交換因子son of sevenless蛋白質の発現を、各腎癌細胞株で検討した結果、すべての細胞株で発現の著名な亢進を認めた。 以上より、腎癌細胞株において、N116Yは細胞内情報伝達系であるrasの機能を阻害することにより、N116Yは増殖抑制活性を示すことが示され、腎癌治療における臨床応用の可能性が示唆された。
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