1996 Fiscal Year Annual Research Report
男性不妊症の免疫制御に関する基礎的研究-中枢性免疫寛容の誘導とその成立機序-
Project/Area Number |
08671820
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
平峯 千春 香川医科大学, 医学部, 助手 (30047203)
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Keywords | ナーシング胸腺上皮細胞 / 精巣細胞 / 胸腺内注射 / ファゴリソソーム / 抗原提示能 / アポトーシス / マウス |
Research Abstract |
精細胞抗原は個体発生上遅れて発現し、かつ、免疫系とくに胸腺からかなり厳格に隔離されているので、臓器特異的自己抗原のなかで最も不寛容な抗原と考えられている。精巣炎誘導能を有する成熟同系精巣細胞(TC)をC3H/Heマウスの胸腺内に直接注射すると、抗原特異的に精巣炎の発症および細胞性・液性免疫応答が阻止されることを報告してきた。このことは成熟マウス胸腺においてもTCに対する自己反応性細胞が除去され、組織特異的な寛容の成立が誘導されることを示唆するものである。今年度は胸腺内でのTC処理機構について、胸腺リンパ球にアポトーシスを誘導し、アポトーシスリンパ球を消化しうる能力を有するマウスナーシング胸腺上皮細胞株とTCを直接注入した胸腺組織を用いて電顕的検索を行った。ナーシング胸腺上皮細胞とTCとを共培養したところ、ナーシング胸腺上皮細胞に侵入し包み込まれたTCは、上皮細胞内で変性を来し、周囲にはリソソームの出現とファゴリソソーム形成がみられた。TCを胸腺内に注射した場合にもマクロファージだけでなく、ナーシング胸腺上皮細胞内に同様の構造が認められた。また、acidic compartmentも存在していた。胸腺内に存在する胸腺ナ-ス細胞(ナーシング胸腺上皮細胞とナーシングマクロファージ)にアポトーシス細胞の消化能力があることは、シクロホスファミド投与マウス胸腺を用いて明らかにした。 ナーシング胸腺上皮細胞はMHCクラスII抗原を有し、BCG菌の貪食とその抗原提示能およびMIs-1^a抗原提示能を有しており、TCの場合にもナーシング胸腺上皮細胞による抗原提示がなされたものと思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Chiharu Hiramine et al.: "Structure evidence for thymocyte apoptosis and clearance mechanism of apoptotic thymocytes in the thymus." Proc.10th Annu.Meet.Jap.Soc.Immunol.Reprod.13-14 (1996)
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[Publications] Chiharu Hiramine et al.: "Thymic nurse cells as the site of thymocyte apoptosis and apoptotic cell clearance in the thymus of cyclophosphamide-treated mice." Laboratory Investigation. 75(2). 185-201 (1996)
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[Publications] Satoshi Hayakawa et al.: "Thymic involution during pregnancy is mediated through estrogen induced suppression of IL-7 production by thymic nurse cells." Proc.11th Annu.Meet.Jap.Soc.Immunol.Reprod.(in press). (1997)
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[Publications] Kotaro Fukunaga et al.: "Effect of chemotherapy on Tl-201 tumor uptake : experimental study." Radiation Medicine. 15(6) (in press). (1997)
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[Publications] 平峯千春: "Annual Review 免疫1997" 中外医学社, 16 (1996)