Research Abstract |
1. 活性型ビタミンD_3(以下1.25D)の泌尿器科悪性腫瘍に対する作用 (1) 前立腺癌細胞に対する研究:昨年までの報告にあるように,1.25Dの細胞増殖抑制効果は調べえた前立腺癌細胞株PC3,PPC1,ALVA101,ALVM41のうちPC3,PPC1,ALVA101の3種類において濃度依存性に認められた。この結果は,第86回日本泌尿器科学会総会で発表し,International Journal of Urobgyに投稿発表した。今年度は,1,25Dの誘導体22-oxa-calcitrid(以下OCT)に関しての実験を継続した。ALVA101,PC3日間培養し,培養液の中に100nMの1.25DまたはOCTを加えて,細胞増殖をみると,コントロールに比し,両細胞に対し約60%の細胞増殖抑制効果を認めた。 (2) 腎癌細胞に対する研究:腎癌細胞株KPK-1,SN12Cを用い解析した。昨年までの報告にあるように,1.25DにはABCならびにDR抗原の発現に対し,明らかな制御作用は認めなかった。今年度は,OCTに関しての実験を継続した。腎癌細胞株KPK-1,SN12CのABC抗原の発現は,IF N-γにより濃度依存性に増強された。DR抗原の発現に関しては,SN12CのみにIFN-γにより誘導された。1.25Dの誘導体OCTには1,25Dと同じく,これらの発現に対する制御作用は認めなかった。また,OCTにはl,25Dと同様に腎癌細胞増殖抑制効果は認められなかった。 2. 正常ならびに維持透析患者における1,25Dの生体防御機構における役割 1,25Dは正常単球の貧食能を増強し,DR抗原とCD13抗原の発現を抑制する。この結果は,Proc Soci Exp Bio Medに投稿発表した。また,昨年までの報告してきた維持透析患者における1,25Dの研究解析は現在論文投稿中である。
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