1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671825
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
酒井 英樹 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (40235122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 泰 長崎大学, 医学部, 教授 (70039832)
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Keywords | 副腎 / 腺腫 / 褐色細胞腫 / 染色体 |
Research Abstract |
アルドステロン産生腫瘍(原発性アルドステロン症)6例、コルチゾール産生腫瘍(クッシング症候群)4例、および副腎褐色細胞腫6例、合計16例の副腎腫瘍を対象にして、Fluorescence in situ hybridlzatlon (FISH)法による染色体の数的異常の解析を行った。副腎腫瘍組織より単離核標本を作製し、3番、7番、8番、12番、17番の各染色体のセントロメアプロープを用いてFISHを施行した。また対照として、摘出標本より正常部副腎が得られた8例についても同様の検討を行った。観察は共焦点レーザー顕微鏡を用い、各標本とも100-200個の核について、プローブごとのシグナル数をカウントした。さらに、総シグナル数を総核数で除してChromosomal Index(CI)を算出し、疾患別の比較検討を行い、以下の結果を得た。 1.アルドステロン産生腫瘍における3番、7番染色体のCI(3番:2.33、7番:2.94)は正常副腎(3番:1.86、7番:2.05)と比較して上昇していた。これはtetrasomyを呈するものが多いことに起因していた。8番、12番、17番染色体において各群間で有意な差は認められなかった。 2.コルチゾール産生腫瘍においては、各染色体のコピー数の有意な増加は認められなかった。 3.各群ともそれぞれの染色体について多少のコピー数のばらつきがあり、同一組織内における染色体異常のheterogeneityが示唆されたが、この傾向は特に褐色細胞腫において著明であった。 現在、染色体プローブ数を増やし、ホルマリン固定パラフィン包埋標本切片で同様の検討を行っているが、これによりさらに多数例の詳細な解析が可能と思われる。また今後、細胞周期関連因子の組織内発現と染色体の数的異常との関連を検討する予定である。
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