1997 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌の生物学的多様性-癌遺伝子/癌抑制遺伝子との関連解析-
Project/Area Number |
08671837
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
森田 辰男 自治医科大学, 医学部, 講師 (40200422)
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Keywords | 膀胱癌 / クローン |
Research Abstract |
新たに樹立した膀胱癌細胞株(JMSU1)をlimiting dilutionによるクローニングにて、いくつかのクローンを単離し、膀胱癌クローンを樹立した。それらクローンの性状解析として以下の点を検討した。癌遺伝子としてHa-rasとKi-ras遺伝子を、癌抑制遺伝子としてp53遺伝子の解析を行った。すなわち、PCR-SSCP法にて、p53遺伝子(Exon5-9)、Ha-ras遺伝子(Exon1-2)、Ki-ras遺伝子(Exon1-2)の変異の有無を各クローンで検討し、異常があれば直接塩基配列決定法でその変異を同定した。すべてのクローンで、p53遺伝子のExon8に突然変異が認められたが、Ha-ras遺伝子とKi-ras遺伝子に変異は検出されなかった。p53遺伝子の変異は、codon280のAGA→ACA(Arg→Thr)であり、すべてのクローンに共通していた。また、親株が浸潤性膀胱癌であったことから、各クローンの浸潤能をin vitro invasion assayにて評価比較した。Transwell^<TM>のpolycarbonate membraneにMatrigel^<TM>をコーティングし、上層に細胞浮遊液を下層に培養液を加え、48時間培養した。下層に浸潤した細胞をトリプシン処理後、細胞を回収しMTTassayで浸潤度を評価した。各クローンの浸潤度は様々で浸潤能に多様性が認められた。以上より、われわれの樹立したクローンには生物学的多様性が確認されたが、p53遺伝子、Ha-ras遺伝子、Ki-ras遺伝子に関しては同様の遺伝子型を示し、クローンの由来が単一であることが示唆された。
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