Competitive PCR法による前立腺癌進行の分子生物学的マーカー同定の試み

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08671841
• Research Institution: KITASATO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 穎川 晋 北里大学, 医学部, 講師 (60160347)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小柴 健 北里大学, 医学部, 教授 (40050380) ; 桑尾 定仁 北里大学, 医学部, 助教授 (70137925) ; 内田 豊昭 北里大学, 医学部, 講師 (70146489) ; 岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 講師 (20176564)
• Keywords: 前立腺癌 / competitive PCR / 遺伝子マーカー癌 / 人種差 / androgen receptor / 点突然変異定性

Research Abstract

本邦においても臨床前立腺癌の発見率は年々増加傾向にあり、高齢化社会における一大問題となりつつある。従来、前立腺癌では剖検癌頻度に差はないものの、臨床癌頻度には極端な人種差があるとされてきた。さらに、本邦での前立腺癌死亡率は欧米に比し遥に低率である。以上より日本人前立腺癌での分子病理、分子生物学的特徴を明らかにし欧米との差を発見することにより、前立腺癌進行因子を同定できる可能性が示唆される。北里大学において過去3年間に施行した根治的前立腺摘除術標本約80例の検討では、腫瘍体積、分布、腫瘍悪性度、進展形式、DNA nonploid頻度に米国の報告と有意の差を認めなかった。また、ゲノム不安定性の指標であるmicrosatellite instabilityの頻度を前立腺癌66症例で検討したところ、19.4%の頻度にinstabilityを認め、臨床的には臨床的には病期、腫瘍悪性度に関わらずリンパ節転移を有していたものに頻度が高く、microsatellite instabilityを有する腫瘍は何らかのgrowth advantageを有している可能性が示唆された。また、29例の前立腺癌症例においてandrogen receptorの構造異常をPCR-SSCP法とmicrosatellite instability analysisで検討したところ、ホルモン抵抗性の骨転移例においてexon D hormone-binding domainの点突然変異を認めた。一方microsatellite instabilityは5例(18.5%)に認められたが両者の間の相関関係は不明であった。さらに、今回の検討では他の前立腺癌進行の遺伝子マーカーとしてkai-1、bcl2、TGFβ、PTHrPなどをcompetitivePCR法を用いて検索したが、いずれも悪性度、病期などとの相関など有意の所見を得ることができなかった。

Research Products

• [Publications] Uchida Toyoaki: "Mutation and microsatellite instability analysis of the androgen receptor gene in human prostate cencer." Int.J.Oncolo.11. 551-556 (1997)
• [Publications] Egawa Shin: "Impact of life expectancy and tumor doubling time on the clinical significance of prostate cancer in Japan." Jpn.J.Clin.Oncol.27. 399-400 (1997)
• [Publications] Egawa Shin: "Free versus total serum prostate specific antigen ratio differential diagnosis of prostate cancer in Japan." Cancer. 79. 90-98 (1997)