1997 Fiscal Year Annual Research Report
組織片のサイトカインにより細胞増殖・遊走が促進し上皮化が速やかな代用尿管の開発
Project/Area Number |
08671849
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Research Institution | Tokyo Women's medical College |
Principal Investigator |
合谷 信行 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40142492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00159047)
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Keywords | 代用尿管 / 尿路 / 移行上皮 / 人工臓器 / サイトカイン / bFGF / 再生上皮 / 組織親和性 |
Research Abstract |
欠損部を有する尿管の再建は泌尿器科領域に残された大きな問題の1つであり、今までに種々の生体あるいは人工的材料が人工尿管としての可能性を検討されてきた。生体材料としては、動脈、静脈、筋膜、腹膜、腱、皮膚、卵管、腸管などの使用が試みられたが、臨床的に使用されたのはもっぱら腸管だけであり、それも現在ではほとんど使用される機会のないのが実状である。これに対し人工的合成材料として、glass,rubber,silber,vitallium,tantalum,polyethylene,polyvinyl,teflon,siliconeが人工尿管としての適合性を動物実験で検討されたが、良好な結果が得られたものは少ない。失敗の原因としては、尿漏、吻合部の痂皮の形成および狭窄、感染、異物反応、変形による管腔の閉塞、結石、グラフとの移動などが問題とされてきた。本研究の目的はサイトカイン活性化を利用した臨床使用に耐えうる代用尿管の開発である。方法としては、(1)管腔状のpolyesterに細切した自己組織を自家移植したTF(Tissue fragmented)ポリエステル、(2)アルコール加橋処理して抗原生を落としたアルコール保存同種頚動脈、(3)フリーグラフトとして採取後筒状にした自家膀胱壁、をイヌ欠損尿管に補填し人工尿管としての可能性を検討した。実験件数は少ないが、TFポリエステル、アルコール保存頚動脈ともに内腔の通過性が保持できず材料の改善が求められた。膀胱壁グラフトは、7日後において内腔は保たれておりグラフトの外側に血管新生がみられたが、基礎実験のみで終わった。さらにメタリックステントの尿管狭窄への有用性を検討するために、アキュフレックスステント(ACCUFLEX,Meditech,Boston Scientific Corporation社製)の尿管内留置実験を行った。その結果6ヶ月後の長期観察例において良好な組織親和性と内腔通過性の確保及び炎症や異型性の無い上皮の再生が確認された。このメッタリックステントが、今後尿管狭窄の治療法の1つとして地位を確保する可能性を充分有していると考えられた。
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[Publications] Goya,N.et al.: "Prevelence of urinary tract infection during outpatient follow-up after renal transplantation" Infection. 25(2). 101-105 (1997)
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[Publications] Tomizawa,Y.et al.: "Endogenous basic fibroblast growth factor for endothelialization due to angiogenesis in fablic vascular prosthesis" ASAIO J. 42. M698-M702 (1996)