1996 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌とN-アセチルトランスフェラーゼ(以下NAT)の遺伝的多型性との関連性
Project/Area Number |
08671851
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
稲富 久人 産業医科大学, 医学部, 助手 (00193558)
|
Keywords | 膀胱癌 / 遺伝的多型性 / N-acetyltransferase2(NAT2) / N-acetyltransferase1(NAT1) |
Research Abstract |
末梢血中の白血球より、ゲノムDNAを抽出し、N-acetyltransferase2(以下NAT2)の遺伝子を、Polymerase Chain Reaction(以下PCR)法により増幅させ、その得られた遺伝子を、Restriction Fragment Length Polymorphism(以下RFLP)法により、その遺伝的多型性について解析を行った。現在まで解析を行ったのは、膀胱癌患者群は74例(平均年齢69.8±11.2歳)、健常者群は、99例(平均年齢61.3±15.6歳)である。NAT2の代謝速度の緩慢なslow acetylatorの頻度は、膀胱癌患者群の13例(17.6%)、健常者群の6例(6.1%)に認められた。slow acetylatorの頻度は、膀胱癌患者群で統計学的に有為な増加(P<0.05)が認められた(オッズ比3.30,95%信頼区間1.19-9.11)。NAT2の遺伝的多型性は、民族差があると言われており、欧米ではslow acetylatorの頻度が高く、膀胱癌の発症と関連性があるとされているが、slow acetylatorの頻度が低いと言われる本邦においても、NAT2の遺伝的多型性を膀胱癌発癌との関連性が示唆された。 N-acetyltransferase 1(以下NAT1)の遺伝子多型については、Bellら(1995年)の方法に従って解析を行っているが、PCR産物やRFLP法による解析が、安定した結果が得られず、現在健常者群の解析の途中であり、NAT1の遺伝子多型については、現在のところ信頼できる結果を得られていない。 健常者群、膀胱癌患者群とも症例を増やしさらに検討したい。
|