1997 Fiscal Year Annual Research Report
着床期子宮内膜における細胞膜脂質硫酸化の調節とその意義
Project/Area Number |
08671871
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
百枝 幹雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50221627)
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Keywords | 子宮内膜 / 着床 / 硫酸化脂質 |
Research Abstract |
本研究では、家兎子宮内膜における着床期に一致したコレステロール硫酸(CS)発現の調節機序と機能について明らかにすることを企図した。第1に調節機序については、合成酵素であるコレステロールスルホトランスフェラーゼ(CST)をクローニングし、その発現と活性化が如何なる因子により調節されているか解析する計画を立てた。まず、CST活性の高い肝癌細胞株より3種類のカラムクロマトグラフィーを用いてCSTを精製し、エストロゲン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)などのステロイドについて基質特異性を検討したところ、コレステロールに比べて他のステロイドに対しては硫酸転移活性が低く、従来の硫酸転移酵素とは別の酵素であることが示唆された。そこで現在、精製したCSTのアミノ酸配列を分析中であり、その結果をもとにクローニングを開始する予定である。第2にCSの機能につては、細胞レベルでは着床モデルを用いて胚盤胞の接着への関与を分析し、分子レベルでは細胞外マトリックスや細胞接着物質など細胞外の分子あるいは細胞内情報伝達系関連物質など細胞内の分子との関連を解析する計画を立てた。現在、SV40温度感受性株による不死化家兎子宮内膜上皮細胞培養系を用いた着床モデルが確立され、CSの発現および非発現下での胚盤胞の接着とトロホブラストの発育について解析を進めている。また、着床期に重要な役割を担うプロテアーゼに対するCSの作用を検討したところ、プロテアーゼ活性の抑制効果が認められ、現在確認実験が進行中である。以上の研究結果は未だ論文発表に至っていないが、あと半年以内に論文発表する予定である。
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