1998 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤ならびに卵巣・機能に及ぼすアドレノメジュリンの影響に関する研究
Project/Area Number |
08671873
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50126223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60093176)
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Keywords | アドレノメジュリン / 妊娠・分娩 / 胎盤 / 母体血中濃度 / 免疫組織染色 / ノーザンブロット法 / mRNA |
Research Abstract |
この研究は、副腎の褐色細胞種より見出された新しい血管拡張性の降圧ペプチドであるアドレノメジュリン(AM)の胎盤機能や卵巣機能への関与について生化学的・分子生物学的に検討することを目的とする。昨年度までの研究では、ヒト妊娠・分娩・産褥期における妊婦血中AMの動態を明かにすると同時に、他の種々の胎盤性ホルモンとの相関性について検討した。その結果AMは母体血中において妊娠後期に有意に上昇することや、血中AMが胎盤由来のE_2・P・hPLと相関することがRIA法によって、また胎盤の羊膜上皮細胞にAMの発現がみられることが免疫組織染色法により証明された。さらに、ヒト胎盤より絨毛膜・脱落膜・羊膜を分離しtotal RNAを抽出した後、AMのmessenger(m)RNAの発現をノーザン・ブロット法にて解析すると、妊娠初期および満期のヒト胎盤においてAM mRNAの位置(1.6kb)に一致したバンドが現れ、AM mRNAの発現が確認された。また、満期胎盤のAM mRNAのバンドは妊娠初期のバンドよりも発現が強く、妊娠中の胎盤由来のAM産生・分泌と胎盤機能との深い関連性が強く示唆された。 本年度は培養ヒト顆粒膜細胞におけるAM分泌機能とAMの生理的役割について検討した。当科で施行される体外受精・胚移植法の採卵時に得られるヒト顆粒膜細胞を培養し、72時間培養中のAM濃度を測定したところ検出感度以下の低濃度を示し、FSHやhCG添加してもAM濃度の上昇はみられなかった。また、顆粒膜細胞と同時に採取された卵胞液中のAM濃度も低濃度を示したことより、ヒト卵胞内でのAMの役割については否定的な結果が得られた。
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[Publications] Lin,Z.,Kubota,T.et al.: "Role of nitric oxide synthase in release of endothelin from human endonetrial cells" European Journal of Endocrinology. 138・4. 467-471 (1998)
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[Publications] Kubota,T.,Taguchi,M.et al.: "Relationship between the release of prolactin and endothelin-I in human decidualized endometrial cells" European Journal of Endocrinology. 137・2. 200-204 (1997)
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[Publications] Kobayashi,K.,Kubota,T.et al.: "Study on immunoreactive adrenomedullin in maternal plasma during human pregnancy" 10th International Congress of Endocrinology,Abstrace. 846 (1996)
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[Publications] 小林康祐 久保田俊郎 他: "新しい降圧ペプチド・アドレノメデュリンの妊娠期・産褥期における母体血中動態の検討" 日本内分泌学会雑誌. 72・2. 384 (1996)
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[Publications] 小林康祐 久保田俊郎 他: "血管作動性ホルモン・アドレノメデュリンの妊娠各期・産褥期における母体血中動態と胎盤機能との関連性に関する検討" 日本産科婦人科学会雑誌. 48・Suppl. S-185 (1996)
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[Publications] 久保田 俊郎: "卵巣・顆粒膜細胞と子宮内膜からの黄体機能調節機構解明へのアプローチ" 日本産科婦人科学会雑誌. 50・8. 491-499 (1998)
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[Publications] 久保田 俊郎: "卵巣 -機能と病態生理-" 医学の世界社 (編集企画 吉村泰典), 363 (1998)