1996 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚癌の細胞分化にともなうヒトパピローマウイルス癌遺伝子発現機構の解明
Project/Area Number |
08671876
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
京 哲 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (50272969)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正樹 金沢大学, 医学部, 教授 (10127186)
|
Keywords | ヒトパピローマウイルス / 子宮頚癌 / 癌遺伝子 / 細胞分化 / 転写調節 |
Research Abstract |
ヒト重層扁平上皮細胞に感染したヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子発現を制御する細胞因子を同定するために、まずHPV type 31を用いてtransient expression assayによるHPV promter-enhancerの同定を試みた。その結果HPV long control regionの中央部約260bpのenhancer領域を同定した。続いてこのenhancerに結合する核内蛋白をDNA-protein binding assay(Footprint analysis,Gel shift assay)により解析したところ、癌遺伝子産物AP1、未同定の蛋白F1,F2,F5および転写因子Oct-1が結合することが判明した。mutation assayにより、この中でHPVpromoterの転写にcriticalな因子を検討したところ、AP1が最も重要な転写調節因子であることが判明した。続いてraft cutureによりHPV31 genomeをepisome状態で含有する細胞を重層培養し、AP1の局在を免疫組織染色で確認したところ、重層扁平上皮の基底および傍基底細胞層に発現を認めた。in situ hybridization法でHPVの癌遺伝子産物であるE6,E7のmRNAの発現を確認したところ、AP1の局在とほぼ一致した基底層、傍基底層に発現を認めた。以上のことからHPVの遺伝子発現には細胞性因子AP1の発現が重要なdeterminantであることが明らかになった。AP1の発現はHPVの細胞種特異性を決定する因子のひとつであると考えられる。
|
Research Products
(1 results)