1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671881
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤本 次良 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (80199372)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉舎 輝彦 岐阜大学, 医学部, 教授 (70079870)
|
Keywords | 子宮内膜癌 / 浸潤・転移 / エストロゲン / プロゲスチン / E-カドヘリン / PAI-1 / FGF / TNP470 |
Research Abstract |
婦人科癌の転移の種々のステップに対する性ステロイドの関与を検討した。 癌細胞間接着能におよぼす性ステロイドの影響の検討 主にE-カドヘリン、αおよびβカテニンにより構成されているアドヘレンス・ジャンクションを介した子宮内膜癌細胞の細胞間接着能は、エストロゲンで低下し、この低下は、抗エストロゲン効果を有するプロゲスチン(プロゲステロンや酢酸メドロキシプロゲステロン)で回復した。したがって、子宮内膜癌においてエストロゲンは、浸潤・転移の最初のステップである細胞遊離を起やすくし、プロゲスチンはこれを阻害すると考えられた。 癌細胞の浸潤能に及ぼす性ステロイドの影響の検討 子宮内膜癌細胞の基底膜、間質への浸潤能は、エストロゲンで亢進し、その亢進はプロゲスチンで抑制された。この現象に関わっているシグナルの一つで内分泌関与が強いのは、plasminogen activator-1 (PAI-1)であった。 癌細胞の血管新生能におよぼす性ステロイドの影響の検討 転移の最後のステップは、癌細胞による血管新生誘導である。子宮内膜癌による血管新生能は、増殖能に関連なく、プロゲスチンによって抑制される症例が多かった。現時点で確立している最も基礎的な血管新生因子は、塩基性fibroblast growth factor (FGF)である。分化型子宮内膜癌細胞のFGF分泌量はエストロゲンで誘導され、この誘導はプロゲスチンで低下した。低分化型内膜癌細胞のFGF分泌量は、性ステロイドで変化せず、TNP470(血管新生阻害剤)でエストロゲンの前処置にかかわらず抑制された。したがって、分化型の子宮内膜癌細胞に対してはプロゲスチンが、また低分化型の子宮内膜癌細胞に対してはTNP470がFGFの分泌を抑制するので、これらの併用療法は子宮内膜癌の血管新生能を効率よく抑制すると考えられた。 すなわち、エストロゲンは、子宮内膜癌細胞の遊離、浸潤、子宮内膜癌細胞による血管新生に関して促進的に作用し、抗エストロゲン作用をもつプロゲスチンは、エストロゲンによって誘導されたこれらを打ち消す働きをすることが明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "Estrogen activates invasiveness (migration activity ) to basement membrane of endometrial cancer cells." Tumor Biol. 17. 48-57 (1996)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "Progestins and danazol effect on cell-to-cell adhesion,and E-cadherin and alpha-and beta-catenin mRNA expressions." J Steroid Biochem Molec Biol. 57. 275-282 (1996)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "Sex steroids regulate the expression of plasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1) and its mRNA in uterine endometrial cancer." J Steroid Biochem Molec Biol. 59. 1-8 (1996)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "Invasion and metastasis of gynecological cancers with reference to endocrine milieu." Gynecol Endocrinol. 10. 71-72 (1996)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "Expressions of the fibroblast growth factor family (FGF-1,-2 and-4) mRNA in endometrial cancers." Tumor Biol. 17. 226-233 (1996)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "Expression of basic fibroblast growth factor and its mRNA in uterine endometrium during the menstrual cycle." Gynecol Gynecol. 10. 193-197 (1996)
-
[Publications] Fujimoto J,et al.: "In Vitro Biology of Sex Steroid Hormone Action (17-30)" Churchill Livingstones, 421 (1996)