Research Abstract |
卵巣癌および子宮体癌の臨床材料を対象に以下の研究を施行した。1,卵巣癌の候補癌抑制遺伝子と考えられる6q27の卵巣癌における共通欠失領域の同定をRFLPマーカー,A2,A12,S149,S186,S196を用いて施行した。2,卵巣癌におけるp53の異常をPCR-SSCPでスクリーニングし,塩基配列異常を確認した。3,子宮体癌および卵巣癌を対象にmicrosatellite instability(MI)を,TP53,D3S1611,D3S1029,D2S123,D18S34を用いて検討した。その結果,1,卵巣癌における6qLOHはinformative症例49例中26例,53%に認められた。またA12によるLOHは31例中20例の高頻度を示し,共通欠失領域が同マーカーを含む約400kb領域にしぼり込まれた。2,6qLOHは進行癌で高率に認められた(I期:38%,II期:44%,III期:60%,IV期:71%)。3,卵巣癌におけるp53の異常は41%の症例にみられた。点突然変異17例,欠失3例であった。4,子宮体癌において,MIが2か所以上にみられた症例は31%(17/55)認められた。卵巣癌では11%(3/28)であった。以上の結果から,卵巣癌の候補抑制遺伝子6q27の共通欠失領域がかなりしぼり込まれたとともに,当候補抑制遺伝子の卵巣癌の発生への関与が強く示唆された。またp53の異常も高頻度にみられることが判明した。子宮体癌においてはMIが高率にみられ,DNAミスマッチ修復異常が子宮体癌の発生に関与していることが示唆された。
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