子宮体癌の進展・転移に関与する糖鎖の解明

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08671926
• Research Institution: Keio University
• Principal Investigator: 久布白 兼行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50170022)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40118972)
• Keywords: 子宮体癌 / 糖鎖遺伝子 / ガラクトース転移酵素 / 遺伝子導入 / 浸潤 / 転移

Research Abstract

近年、癌細胞膜に存在する糖鎖が癌の転移に関与していることが明らかになった。また糖鎖の合成に関与する糖転移酵素の活性を変化させることによって実験的転移を抑制させ得ることが報告されている。そこで子宮体癌に発現される1型糖鎖や2型糖鎖が癌の進展・転移にいかなる関与を有するかを明らかにするため、2型糖鎖の合成に関与するガラクトース転移酵素の遺伝子を導入することによる糖鎖変化を解析すると同時に、浸潤・転移能の変化について検討した。まず、β1,4ガラクトース転移酵素(GT)の発現が低い子宮体癌由来株にヒトβ1,4GTcDNAを導入した。その結果、β1,4GTのmRNAおよび蛋白の発現レベルが増加したβ1,4GT高発現株が得られた。β1,4GTの高発現株は1型糖鎖であるnLc3Cerの発現は低下し、一方2型糖鎖であるLewisX型糖鎖の発現は亢進した。また、接着分子の一つであるインテグリンβ1の発現はvector controlとβ1,4GT高発現株の間で差異は認められなかった。β1,4GT高発現株はin vitroにおける細胞の浸潤能は亢進した。さらに細胞外基質蛋白への接着能に関してもβ1,4GT高発現株は亢進した。以上より、子宮体癌ではβ1,4GTを高発現することによって細胞の浸潤・接着能が高まることが示唆された。従って、子宮体癌細胞の浸潤・転移の分子機構にはβ1,4GTが関与している可能性が示唆された。

Research Products

• [Publications] Kaneyuki Kubushiro et al.: "Expression of glycoconjugates in endometrial cancer and its association with cell function" International Journal of Gynecological Cancer. 7. 91- (1997)
• [Publications] Kaneyuki Kubushiro et al.: "Expression of human β1,4 galactosyltransferase in gynecological cancer cell lines" International Journal of Oncology. 11. 117-122 (1997)
• [Publications] Kaneyuki Kubushiro et al.: "High expression of Uterine Diphosphate-galactose : Lc3Cer β1,3galactosyltransferase in human uterine endometrial cancer-derived cell" Japanese Journal of Cancer Research. 88(7). 669-677 (1997)
• [Publications] Kaneyuki Kubushiro et al.: "Alteration of acidic lipids in human sera during the course of pregnancy" Journal of Chromatography B. 704. 99-104 (1997)