1996 Fiscal Year Annual Research Report
鼻過敏症におけるヒスタミンH1およびNK1レセプターの遺伝子多型の検索
Project/Area Number |
08671951
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永田 博史 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (20237530)
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Keywords | ヒスタミンH1レセプター / 遺伝子多型 / 鼻過敏症 / アレルギー性鼻炎 |
Research Abstract |
千葉県内のある地域の学童における疫学調査の結果から、アレルギー性鼻炎の発症には、何らかの遺伝的素因が関与していることが考えられた。そこで、症状の発現に重要な役割を果たすと考えられるヒスタミンH1レセプターに多型性が存在するのではないかと仮説をたて以下の者を対象に、ヒスタミンH1レセプターの遺伝子多型をスクリーニングした。A)三親等以内に鼻アレルギー患者をもつアレルギー性鼻炎患者23名,B)家族歴のないアレルギー性鼻炎患者7名,C)抗原に感作されているが無症状の者11名,D)ダニ、スギ両者に感作されていながらスギ花粉症のみを有する者2名,E)血管運動性鼻炎患者5名の5群48名。スクリーニングした領域はH1レセプターの蛋白をコードする1,461塩基で、H1レセプター遺伝子を7つの領域に分けて、PCR-SSCP法をもちいてスクリーニングした。結果は、1名において遺伝子多型が同定された。この被験者は、18才の女性で、日常的に無症状であったが、皮内テストでダニに対して25x35mm,膨疹10x10mmと弱陽性を示していた。塩基配列を決定したところ、一般のヒトではグアニンである1045番目の塩基が、同被験者ではグアニンとシトシンのヘテロ接合となっていた。これによって、H1レセプターの349番目のアミノ酸であるアスパラギン酸が一部ヒスチジンに置換されている可能性が示された。今回の結果を総合すると、H1レセプターの遺伝子多型は48名中1名しか認められず、アレルギーの発症に影響をおよぼす大きな因子とは考えにくいが、同定された遺伝子多型は過敏症状の発現に抑制的に働いている可能性もあり、その評価のためには今後さらに多くの個体についてスクリーニングを行う必要があると考えられた。
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