1998 Fiscal Year Annual Research Report
中耳腔における経粘膜換気能 -正常耳と炎症耳の比較-
Project/Area Number |
08671954
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
野々村 直文 新潟大学, 医学部, 助教授 (00156217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 文雄 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (30176060)
高橋 姿 新潟大学, 医学部, 教授 (10154824)
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Keywords | 中耳腔 / ガス交換 / 経粘膜換気 / 正常耳 / 炎症耳 |
Research Abstract |
これまでの研究により、正常耳では中耳腔と中耳粘膜下の毛細血管との間で気体の圧勾配に従った経粘膜換気が営まれ、炎症耳ではこれが障害されることが示された。今回はさらに詳細な実験的、臨床的検討を追加した。 実験的研究:炎症耳と経粘膜換気能の関係につき定量的に検討した。生後4週のブタを用い、一側中耳腔へグリセリンを注入して炎症を惹起、生後8週にて従来と同様の検査を行った。正常耳と同じく血液中の二酸化炭素分圧の変化に比例して中耳圧が変動する反応良好例と、中耳圧が変動しない反応不良例が認められた。両者の含気蜂巣の組織所見をパーソナルコンピュータ上に取り込み、ソフトウエア-NIH Imageを用いて定量的に分析した。いくつかのパラメターの中で、反応不良例では残存含気腔のうち病的粘膜を有する含気腔の割合が明らかに大きくなっていた。炎症耳における経粘膜換気の障害程度は残存する蜂巣粘膜の中に病的粘膜が占める割合により規定される可能性が示唆された。 臨床的研究:従来の方法に従い、正常耳に対する検査を追加した。中耳圧、血液中の二酸化炭素分圧は低換気呼吸で上昇、過換気呼吸で低下し、正常耳では経粘膜換気が営まれていることが確認された。さらに血液中の二酸化炭素濃度測定を終末呼気中の二酸化炭素濃度測定に変えるなど、検査方法を簡便化し、正常耳およびティンパノグラムC_2タイプを示す軽度滲出性中耳炎症例における経粘膜換気能を測定した。その結果、正常耳の経粘膜換気能には著しい個体差があること、軽度滲出性中耳炎では経粘膜換気能は障害されないことがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 山本 裕、他: "ブタ炎症耳の経粘膜換気能-含気蜂巣の炎症所見との関係-" Otology Japan. 8・4. 432 (1998)
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[Publications] Fumio Ikarashi: "The effect of respiratory mode on human middle ear pressure" Auris Nasus Larynx. 25・4. 349-354 (1998)