Research Abstract |
今回我々は,聴覚機能の面から,聴性脳幹反応(auditory brainstem response,以下ABRと略す)及び蝸牛神経複合電位(compound action potential,以下CAPと略す)を指標として,ハートレイ系モルモットをA群2-4カ月齢:21匹,B群13-15カ月齢:16匹,C群23-25カ月齢:22匹,D群33-35カ月:7匹の4群に分類して検討した。 そして,各群間のCAPの閾値,ABRのI,II,III,IV波の閾値,95dBpeSPLにおける各波の潜時,I-II,I-III,I-IV波の各波潜時間の比較を行った。CAPの閾値は,A群:46.9±9.4,B群:60.4±14.0,C群:68.2±11.5,D群:78.0±10.7dBpeSPLであり,月齢とともに有意に聴覚閾値が上昇した。ABRのI波,II波,III波,IV波も同様に,それぞれ月齢により有意に閾値が上昇した。また,95dBpeSPLにおける各波の替時も月齢により有意に延長していたが,I-II,I-III,I-IV波の各波潜時間では,はっきりとした延長は認められなかった。 また,月齢の高いモルモットでも若いモルモットと同じ域値を示す個体も存在し,ヒト同様に個体差のあること。さらに,加齢による聴覚系の変化は,必ずしも末梢聴覚系(内耳)と中枢聴覚系で平行して進行していかない可能性があるものと思われた。 今後,CAPでは,CM等の測定も必要であるともに,病理組織学的検討を加えることが重要課題であるものと思われた。
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