1998 Fiscal Year Annual Research Report
蝸電図及びABRを用いた聴覚時間分解能の客観的評価
Project/Area Number |
08671962
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
倉田 響介 京都大学, 医学研究科, 助手 (80225242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安里 亮 京都大学, 医学研究科, 助手 (70283603)
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Keywords | 蝸電図 / 蝸牛 / 時間情報 / 語音刺激 |
Research Abstract |
音の入力に対し,蝸牛から中枢に出力される情報は,興奮の起こった一次聴ニューロンの周波数情報と,その発火パターンでとしてコーディングされる時間情報があり,語音の認知に関してこの時間情報が重要な役割を果たしていることがわかってきた.その観察手段として,一次聴ニューロンの同期的発火である蝸電図のCAPの時間パターンを調べることでヒト蝸牛での時間情報処理をある程度推測できると考え,有声子音[ma],[ba],[da]を刺激音とした蝸電図を記録しその時間情報を観察した.その結果Secker-Walkerらがネコのデータをもとに[ba][da]を刺激音として一次聴ニューロンの発火を表したneurogramから予想される一次聴ニューロンの複合的電気反応と,今回の[ba][da]を刺激音としたCAPの結果が合致し,語音の時間情報を観察に有用であることが確認できた. 有声子音によるCAPの特徴は,母音部基本周波数に一致する周期的CAPを認める.(1)[m],[bコ,[d]開始部のCAPは,[kコ,[a〕と違って弱い(無声子音[k]と短母音[a]を刺激音としたとき,[a][k]とも開始部の強いCAPと,母音持続部で基本周波数に÷致したCAPであることが以前の研究でわかっている).(2)[m]の有声子音部でも[kコではない周期的CAPを認めた (3)[b],[dコの破裂部で[kコ開始部(=破裂部)と同様に強いCAPを認め,この点が[m]と大きく異なっているものであった.このように有声子音,無声子音,母音を刺激音としたCAPの発火パターンはそれぞれ特徴があり,有声子音間でも[m]と[b],[d]では異なっており,このような時間情報の違いが語音の認知に寄与していると考えられる.
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