1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671967
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 正紘 山口大学, 医学部, 教授 (30051832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 卓生 山口大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
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Keywords | 空間識 / 起立 / コリオリ刺激 / 重心動揺 |
Research Abstract |
1)回転テーブルによるコリオリ刺激実験 昨年度作製した回転テーブルを用いて、健康者6名に加え、2名の両側前庭機能消失者で、コリオリ刺激実験を行った。回転テーブル上に重心動揺計を置き、被験者を開脚起立させ、一眼にCCDビデオ・カメラを装着し、他眼を遮眼した。回転台を加速した後、一定速度で維持し、被験者に頭部の前屈や後屈、右傾斜や左傾斜を指示した。以下の結果が得られた。 健康者では例外なく、重心は前屈で左に、後屈で右に、右傾斜で前方に、左傾斜で後方に移動した。眼球運動は、前屈で反時計方向回旋性(被験者からみて)、後屈で時計方向回旋性、右傾斜で上眼瞼向き垂直性、左傾斜で下眼瞼向き垂直性の、それぞれ眼振を数秒間認めた。重心の移動と眼振の方向は、コリオリで誘発される脳内ベクトルを忠実に反映していた。一方、両側前庭機能消失者では、回転中に頭部を傾斜しても、明らかな重心の移動や眼振は観察されなかった。 これらの事実から、コリオリ刺激中の重心の移動は、頭部移動による物理的な結果ではなく、前庭器を介する脳内の環境の変化によるものと、結論された。同時に、一見複雑な眼球運動や重心移動が、極めて単純なベクトルの原理に従っていることが判明した。健康者の裸眼では、同じ頭部傾斜でも、これらの重心の移動や奇妙な眼振は観察されない。この結果は、視覚から空間の移動がベクトルとして脳内に再現され、前庭器からの入力とベクトル的に加算されることで、合理的に説明可能である。 2)研究成果の出版 現在、研究成果を論文として準備中である。
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[Publications] Takahashi M, et al: "Study of accuracy of stance regulation." Acta Otolaryngol. 116. 177-180 (1996)
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[Publications] Takahashi M, et al: "The significance of motion sickness in the vestibular system" J Vestibular Res. 7. 179-187 (1997)
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[Publications] Ikeda T, et al: "Active posture control during experimental motion sickness in guinea pigs." Acta Otolarngol. 117. 815-818 (1997)
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[Publications] 高橋正紘: "空間識とめまい・平衡障害" 耳鼻臨床. 90. 379-386 (1997)
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[Publications] 三浦正子: "コリオリ刺激で誘発される眼球運動と動揺病症状の研究." Equilibrium Res. 56. 338-346 (1997)
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[Publications] 綿貫浩一, 他: "コリオリ刺激が起立に及ぼす影響" Equilibrium Res. (印刷中).
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[Publications] 高橋正紘: "動揺病-ヒトはなぜ空間の奴隷になるのか" 築地書館, 473ページ (1997)