1997 Fiscal Year Annual Research Report
内耳感覚上皮における成長因子レセプター遺伝子の発現-鳥類と哺乳類の相違-
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08671968
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山下 裕司 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (00210419)
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Keywords | 内耳 / 可塑性 / 成長因子 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
1.障害マウス卵形襄におけるFGFレセプターの発現 蝸牛において、音響障害後にFGFレセプターが発現することが知られている(Privola et al.,1995)。神経終末から成長因子が放出され、感覚細胞に成長因子レセプターが発現することにより、内耳の可塑性に関与していることが推定されている。 今回、マウス卵形襄を硫酸ストレプトマイシンにて障害し、卵形襄を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。FGFレセプターとneurofilamentによる二重染色を行った結果、障害された卵形襄において、神経終末にFGFレセプターを認めた。この結果は、シナプスの可塑性の含めた卵形襄における修復機転に、FGFが関与していることが推定された。 障害マウス卵形襄におけるNCAM及びsynaptophysinの発現 NCAM及びsynaptophysinは、シナプスの可塑性に関与していることが知られている。内耳の発生において、synaptophysinは蝸牛遠心性終末の形成に関与していることが報告されている(knipper et al.,1995)。また、NCAMも発生段階においては、内耳神経及び神経終末に存在し、内耳神経の発生に関与している。 共焦点レーザー顕微鏡において、障害マウス卵形襄におけるNCAM及びsynaptophysinの発現を検討した。NCAMは、障害された卵形襄の神経終末に発現した。synaptophysin陽性神経終末が、障害後に多く認められた。これらの結果は、哺乳動物末梢前庭器におけるシナプスの可塑性を示唆しており、内耳の機能回復に関する重要な示唆を与える所見と考えた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamashita H, et al.: "Observation of surface structure and nerve innervation in inner ear end or gans by confocal laser scanning microscopy." Acta Histo chem Cytochim. 30. 341-343 (1997)
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[Publications] Yamashita H, et al.: "Expression of Fibroblast growth factor receptor in adult mouse utricle damaged by streptomycin sulfate." ORL. 60. 1-3 (1998)