1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671981
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菅原 公明 自治医科大学, 医学部, 助手 (50179123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多村 健 自治医科大学, 医学部, 教授 (90010470)
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Keywords | 神経繊維腫症 / NF2 / 遺伝子異常 / schwannomin |
Research Abstract |
神経線維腫症2型(NF2)は,臨床像の特徴から若年発症型(Wishart type)と中年発症型(Gardner subtype)とに分類されているが,前者は生命予後不良(Severe type),後者は病変の進行程度が比較的緩徐(Mild subtype)である。これら臨床像の違いがNF2遺伝子のどのような異常によって引き起こされるかの検討を,モントリオールのRouleauらのグループと共同研究を行った。 対象はNF2 111例(カナダ,アメリカ合衆国,ドイツ,ポーランド,日本)で,若年発症型49例,中年発症型38例,中間型(ModerateNF2)4例,非症候群型(NF2家系で遺伝子異常が先に証明された例および画像診断で発見された例)12である。 これらの患者の末梢血より高分子DNAを抽出し,NF2遺伝子のエクソン17の点突然変異をPCR法を用いた短鎖構造分析(Single-strand conformational analysis)によって解析することで,以下の結果を得た。 1)67例(56.2%)において36種類の遺伝子異常が同定され,それらのうち17種類は未報告の遺伝異常であった。 2)NF2にコードされたタンパク(schwannomin)構造の部分的欠失を起こす遺伝子変異が28例において認められ,それらのうち24例は臨床的に若年発症型を呈していた。 3)ある3家系由来の16例で1個のアミノ酸に影響をおよぼすNF2遺伝子の異常を認め,臨床的には中年発症型を呈していた。 以上の結果から,ある種のNF2遺伝子の異常と臨床像との関連性が示唆され,このことは,NF2家系者のNF2遺伝子とその異常の種類を早期に同定することによって,将来発症しえるNF2の病像を特定することに役立つ可能性のあることが考えられた。
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Research Products
(1 results)