1998 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の聴覚系の時間分解能とデジタル補聴器フィッティング法の研究
Project/Area Number |
08671996
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
細井 裕司 近畿大学, 医学部, 助教授 (80094613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 泉敏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80122018)
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Keywords | 高齢者 / 聴覚検査 / 時間分解能 / 話速変換語音 / デジタル補聴器 / フィッティング |
Research Abstract |
昨年までの研究で、我々の開発した話速変換語音聴力検査(VSRAと呼ぶ)システムがデジタル補聴器のフィッティング、評価を行う上で有用であることが示された。本年は本システムを用いて2種類のmulti-channel compression(MCC)を組み込んだデジタル補聴器を評価した。 1) 対象と方法 52歳から78歳の感音難聴者8名を対象とした。まず、それぞれの難聴者の聴力閾値、快適閾値、不快閾値を測定した。信号処理の条件として2種類のamplitude compressionを採用した。1つは健常耳のダイナミックレンジを個々の難聴耳のダイナミックレンジに圧縮投影するように信号処理をする方法(NCと呼ぶ)で、もう1つは音声のダイナミックレンジを個々の難聴耳のダイナミックレンジに圧縮投影する方法(PCと呼ぶ)である。比較の対象として、難聴者が日常使用しているアナログ補聴器(AH)を用いた。VSRAをS/N12dBのmultitalker bubble下に、AH、NC、PCについてスピーカ法で施行した。呈示速度は1倍速(通常速度)と1.5倍速を用いた。また、本デジタル補聴器を日常生活で使用し、フィッティング直後からの経時的な経過を観察した。 2) 結果と考察 個々の症例について、スピーチオージオグラム上に2種類の話速の明瞭度曲線を表示して検討したところ、すべての症例でMCCがAHより良く適合していると考えられた。NCとPCの優劣については、個々の症例について明らかにできた。4週間までの経過観察の結果、時間経過とともに語音明瞭度が改善していく傾向は認められなかった。VSRAは、実際の補聴器に組み込まれたデジタル信号処理の効果判定に有用であることが示された。
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Research Products
(2 results)