1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 秀一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30160352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 英俊 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90158163)
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Keywords | ヒト網膜色素上皮細胞 / 創傷治癒 / 細胞遊走 / basic FGF / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校眼科より入手したヒト胎児網膜色素上皮細胞(RPE)を用いヒトRPE単層培養シートを作成した。本シートを2%牛胎児血清(FCS)に2日間被爆した後,回転するシリコンロッドを培養シートに接触させ面積2.35±0.03mm^2(平均±S.D.,N=28)の円形創を作成した。創作成直後及び24時間後の細胞欠損部面積を位相差顕微鏡下で測定した。2%FCSのみにて培養した群を対照としphorbol 12-myristate 13-acetate(PMA,10nM/l)又はb-FGF(10ng/ml)を培養液中に投与してRPE遊走による創傷治癒への効果を比較した。b-FGF投与群では,b-FGFに加え、PMA,4α-phorbol 12,13-didecanoate(4α-PDD,10nM/l),CalphostinC(10nM/l),HA-1004(100nM/l)を各々培養液中に投与し,これら薬物の影響を検討した。結果:創作成後24時間の細胞欠損部面積(mm^2,N=4)は、コントロール群2.01±0.07,PMA単独投与群では1.70±0.10とPMA単独投与群で有意に創傷治癒を促進していた(p<0.05)。b-FGF投与群では1.81±0.10、b-FGF+PMA投与群では1.87±0.10と両群ともコントロール群に比べ有意に創傷治癒を促進したが、両群間に有意差は無かった。b-FGF及び4α-PDD又はCalphostinC投与群では,創面積はコントロール群と有意差は認めずb-FGFによる創傷治癒促進効果は阻害された。b-FGF及びHA1004投与群では1.67±0.06とb-FGF投与群に比べ創傷治癒が有意に促進された。結論:RPEのb-FGFによる遊走促進においてはプロテインキナーゼCを介した伝達経路が重要な働きを担っていると考えられた。
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[Publications] 江口秀一郎: "培養ヒト網膜色素上皮細胞遊走に及ぼす塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)の効果" 日本眼科学会雑誌. 100. 183 (1996)
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[Publications] S.Eguchi: "Basic fibroblast growth factor modulates human retinal pigment epithelial cell migration by stimulation of protein kinase C in vitro" Invest of Ophthalmol & Visual Sci. 37. 790S (1996)