1997 Fiscal Year Annual Research Report
局所網膜電図と局所視覚誘発電位に関する研究-スキャンニングレーザーオフサルモスコープ(SLO)を用いて-
Project/Area Number |
08672022
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Research Institution | Saga Medical School |
Principal Investigator |
松井 淑江 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (30238951)
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Keywords | Scanning laser θ phthalmoscope / 局所網膜電図 / 局所視覚誘発電位 / スコトメトリー |
Research Abstract |
目的:Scanning laser ophthalmoscope(SLO)microperimetryは、眼底を直視下に見ながら網膜を直接光刺激して、局所の網膜感度を自覚的に測定するものである。我々はこの機器を利用し、網膜局所の他覚的機能検査である局所網膜電図(EPG)および局所視覚誘電位(VEP)測定の可能性と、その測定条件について検討した。 方法:Buriann-Allen電極をERGの記録電極とし、VEP記録には銀塩化銀電極を用いた。刺激および眼底のモニターにはSLOmicroperimetryを用いた。背景光10cd/m^2で、刺激時間は100ms、He-Neレーザー光(6200cd/m^2:0dB)を用いた刺激光を、サイズ、強さ、刺激部位を変え、種々の条件下でERG、VEPを記録した。記録は50回加算平均した。 結果:ERGに関しては、正常被検者で視神経乳頭と同大の刺激光(直径約5度)で黄斑部を刺激した場合、反応は刺激光の強度に伴い大きくなるが、25dB以上ではa波、b波とも振幅の増大傾向は認められなかった。散乱光の影響をみるために視神経乳頭で視神経乳頭と同大の刺激を加えた場合、25dBまでは反応が得られなかったが、25dBより強い刺激では弱いながらも反応が記録された。25dB、さらに2dB弱い27dBで、黄斑部とその耳側、鼻側網膜のERGを測定したところ、黄斑部で最大振幅を得たが、耳側、鼻側網膜においても反応が得られた。黄斑部で刺激サイズを小さくしたところ、直径100'、27dBの刺激においても、a波は小さいもののb波は良好な振幅を保っていた。VEPに関しては、ERGと同様の傾向を得たが、今回のシステムではノイズが多く、困難があった。 結論:SLO microperimetryを用いて局所ERGを測定することが可能であった。刺激強度としては25dBあるいは27dBが適当であると考えられた。黄斑部では直径100'の小さな刺激でも反応を得ることができ、臨床上有用な検査であることが示唆された。
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