1996 Fiscal Year Annual Research Report
イモリ網膜色素上皮細胞の網膜分化再生過程における神経細胞接着因子の役割
Project/Area Number |
08672033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
平形 明人 杏林大学, 医学部, 講師 (80173219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 講師 (80135912)
樋田 哲夫 杏林大学, 医学部, 教授 (40129622)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / 網膜再生 / 神経細胞接着因子 / イモリ |
Research Abstract |
日本産両生網有尾目のアカハライモリを麻酔後、強膜穿孔し神経網膜と色素上皮細胞層間に生理食塩水を注入することで網膜剥離を起こし神経網膜を除去する。硝子体、並びに水晶体も外科的に摘出しHoltfrater液を眼球中に満たして切開創を閉鎖すると神経網膜が約45日間で再生した。 神経細胞接着分子(N-CAM)抗体による免疫組織染色では、手術後約15日の網膜が5〜6層形成された頃に、内網状層から神経線維層に陽性所見がえられた。N-CAMが網膜再生においてどのような役割を担うのか、経時的に検討する予定であったが、本再生モデルでは、網膜剥離の際に網膜色素上皮層に機械的な障害を与えることも多く、色素上皮細胞が脱分化せずに増殖し再生が起こらない個体も少なくなかった。そのため、強膜切開で外科的に網膜を除去する方法から、眼球運動のための筋肉、視神経、動静脈を切断して眼球を一旦摘出し、再び眼窩内に戻して経過観察を行った。 眼球摘出後の網膜再生モデルでは、手術後約12日間で神経網膜は変性し消失した。その後数日間は明らかな変化は見られなかったが、手術後約20日で当初の方法同様に網膜色素上皮細胞が脱分化、増殖し、手術後約60日で網膜が再生した。この方法では、網膜色素上皮細胞に乱れが生じないために均一な環境での再生の観察が可能となり、個体差も最小限に止めることができた。これらの基礎実験の末、従来の網膜摘出後0日を本法の手術後15日と設定し、これらの方法により採取された再生段階のアカハライモリの神経網膜組織を回収中である。平成9年度にはこれらの免疫組織学的検討、神経細胞接着分子、神経細胞増殖因子などの蛋白質定量を行う予定である。
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