1996 Fiscal Year Annual Research Report
オルニチンおよびポリアミンによる網膜色素上皮細胞傷害の機序解明
Project/Area Number |
08672042
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
西村 哲哉 関西医科大学, 医学部, 助教授 (30156111)
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Keywords | オルニチン網膜症 / in vitro / スペルミン |
Research Abstract |
[目的]オルニチン網膜症の発症機序の解明を,in vitroにおいて試みた。 [方法]牛網膜色素上皮細胞(RPE)を、オルニチン或いはその代謝物存在下に培養し、[3H]サイミジン取り込みを測定することによって、それらの細胞増殖能に与える影響を調べた。対照として同様の実験を大動脈血管内皮細胞(AEC)についても行った。また、3-(4,5-climethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl tetrazolium bromide(以下MTT)formazanの呈色反応を用いて、細胞死の指標とした。更に蛍光物質であるdansyl基をスペルミンに結合させたdansylspermineを用いて、細胞内におけるスペルミンの局所を経時的に共焦点蛍光顕微鏡を用いて観察した。 [結果]Ornithine decarboxyaseの代謝物であるスペルミンに、強い細胞増殖抑制効果がみられた。このスペルミンの細胞増殖抑制効果は、AECには認められずRPEに選択的であった。一方、オルニチンやその代謝物では、細胞増殖抑制効果は明瞭ではなかった。スペルミンの作用は、細胞増殖抑制が細胞死に先行していた。更にスペルミンを、一定時間作用させた後洗浄除去しても、細胞増殖抑制が認められた。 又、培地中に加えたdansylspermineが、経時的に細胞質から核へと移行することが共焦点蛍光顕微鏡下に観察された。 [結論]in vitroにおいて、オルニチンそのものではなく、その代謝物であるスペルミンに強いRPE増殖抑制効果がみられた。この効果は、RPEに選択的であった。スペルミンのRPE殖抑制効果は、スペルミンが細胞内に取り込まれて発現すると考えられ、その作用点が核である可能性が示唆された。
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