1997 Fiscal Year Annual Research Report
MR Spectroscopyによる神経芽腫良性度判定のための実験的研究
Project/Area Number |
08672052
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田辺 政裕 千葉大学, 医学部, 助教授 (10207160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 浩明 千葉大学, 医学部・付属病院, 医員
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Keywords | 神経芽腫 / レチノイン酸 / 神経節腫 / MR Spectroscopy |
Research Abstract |
レチノイン酸によるin vivoでの神経芽腫の分化誘導により人為的に神経節芽腫を作成するために、ヒト神経芽腫(SH-SY-5Y)をマウス背部皮下へ移植しヌードマウス可移植性神経芽腫を作成した。All-trans Retinoic Acid(RA)をcorn oilに溶解し、最終濃度を5から40mMに調整し、その0.1mLを1日1回連日胃内へ7日間注入し、薬剤毒性、腫瘍増殖抑制効果、組織学的変化を観察した。 結果: 1 薬剤毒性:5、10、20、40mMの濃度のRAを各群5匹のヌードマウスに投与し7日目にマウスの生死を観察した。5mMでは全てのマウスが生存したが、10mMでは1匹、20mMでは4匹、40mMでは5匹が死亡した。 2 腫瘍増殖抑制効果:RA(5mM)を神経芽腫担癌ヌードマウスに投与し、経時的に腫瘍体積を計測することによりRAの神経芽腫増殖抑制効果を検定した。RA投与により神経芽腫の腫瘍増殖は遅滞するが、投与終了後対照群と同等の増殖を示した。RAによる神経芽腫のgrowth delayは2.6日でspecific growth delayは0.49であった。 3 組織学的変化:神経芽腫担癌ヌードマウスにRA(5mM)投与後、腫瘍摘出し、以下に述べる組織学的検索と電子顕微鏡検査を行った。HE染色では、腫瘍の組織型は円形細胞型から花冠細繊維型に変化し、間質の増生、腫瘍細胞の大型化、壊死部分が腫瘍内に巣状に認められた。免疫組織染色では無治療群と比較してNSE及びSynaptofesin陽性細胞数の増加とKi67陽性細胞数の減少が認められたが、S100陽性細胞は認められなかった。電子顕微鏡による検索では、明らかな神経繊維の増生が認められた。 結論:ヌードマウス可移植ヒト神経芽腫(SH-SY-5Y)はRA投与により腫瘍増殖が抑制され、組織学的には神経繊維の増生が見られたが明らかな腫瘍細胞の分化は認められなかった。
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