1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 芳夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (80201242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 繁 名古屋大学, 医学部, 教授 (00018342)
高橋 雅英 名古屋大学, 医学部, 教授 (40183446)
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Keywords | ret proto-oncogene / 神経提細胞 / 系統分化 / Hirschsprung病 |
Research Abstract |
神経提細胞は腸管神経系の発生に深く関与している。最近、神経提細胞から神経、グリア細胞および一部の平滑筋が分化することが明かとなり、神経提細胞の機能分化は、Hirschsprung病やその類縁疾患の発生原因を解明するうえで重要である。我々は複数の異なる神経マーカーを指標として、胎性10.5日から15.5日のWister系ラット胎仔の腸管を用いて、免疫組織学的手法で腸管における神経提細胞の系統分化を研究した。その結果、ret proto-oncogeneから合成されるc-Retは、腸管神経が神経として分化する以前にすでに腸管壁内に発現していた。口側腸管では、神経提細胞は一過性にTyroshine hydroxylaseを発現し、カテコールアミン陽性細胞を経て、神経細胞に分化した。肛門側結腸では、Tyroshine hydroxylaseは一過性に発現せず、腸管の口側と肛門側の神経因子の発現様式または発現の時間的因子は異なっていた。ラットの腸管における神経提細胞の腸管神経への分化は、胎生15.5日でほぼ完成した。一方、ret proto-oncogeneから細胞内で合成されるc-Retは、細胞表面に運ばれて、細胞分化に関するレセプターとして働く。Hirschsprung病では、ret proto-oncogeneに異常を認めることが多い。細胞外ドメインに異常を持ったc-Retは、細胞表面での発現が傷害され、その活性が落ちることが証明された。さらに、Hirschsprung病において、無神経節腸管の長い症例ほどこの細胞表面での発現が強く傷害されていることが示唆されていた。また、Hirschsprung病では無神経節腸管が運動性を失っていることが知られている。しかし、腸管の運動では、ペースメーカーとなる特殊平滑筋が、腸管運動の基本的リズムを形成していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Toshihide Iwasita: "Mechanism of Ret dysfunction by Hirschsprung mutations affecting its extracellular domain" Human Molecular Genetic. 5・10. 1577-1580 (1996)
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[Publications] Yoshio Watanabe: "ret Proto-Oncogene Product is a Useful Marker of Lineage Determination in the Development of the Enteric Nervous System in Rats" Journal of Pediatric Surgery. 32・1. 28-33 (1997)
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[Publications] Naoya Asai: "A Mutation at Tyrosine 1062 in MEN2A-Ret and MEN2B-Ret Impairs Their Trasforming Activity and Association with Shc Adaptor Proteins" The Journal of Biologecal Chemistry. 271・30. 17644-17649 (1996)
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[Publications] Shigeru Kobayashi: "A Smooth Muscle Nodule Producing 10-12 Cycle/Min Regular Contractions at the Mesenteric Border of the Pacemaker Area in the Guinea-Pig Colon" Archives of Histology and Cytology. 59・2. 159-168 (1996)
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[Publications] Shigeru Kobayashi: "The Centenary of the Problem of the Interstitial Cells of Cajal" Acta Anatomica Nipponica. 71・6. 629-637 (1996)