1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性腫瘍増殖におけるグルタミン依存性に関する検討
Project/Area Number |
08672056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和佐 勝史 大阪大学, 医学部, 助手 (10240467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福沢 正洋 大阪大学, 医学部, 助教授 (60165272)
岡田 正 大阪大学, 医学部, 教授 (40028569)
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Keywords | 小児悪性腫瘍 / グルタミン / アミノ酸トランスポート |
Research Abstract |
腫瘍細胞の増殖におけるグルタミン依存性を明らかにする目的で、肝癌細胞の一つであるHepG2を用い、細胞培養の手法にて実験を行い、次のことが明らかとなった。 (1)この癌細胞においてグルタミンは正常細胞とは異なった細胞膜carrier protein(System ASC)によって細胞内に移行する。しかもその移行速度は、正常細胞の20倍以上である。(2)腫瘍細胞の増殖速度は培養液中のグルタミン濃度に依存する。(3)グルタミンは腫瘍細胞のcell cycle kinetics(DNA合成、蛋白合成)の重要な調節因子の一つであり、グルタミンの欠乏によりDNA合成および蛋白合成が著明に低下する。しかもその低下の程度はグルタミン濃度依存性である。 本研究をさらに進めるため、小児の代表的な悪性腫瘍である神経芽細胞腫(SK-N-SH)を用いて、その増殖におけるグルタミン依存性とその増殖のメカニズムを検討した。その結果次のことが明らかとなった。(1)SK-N-SHの増殖速度は培養液中のグルタミン濃度に依存し、100μMのグルタミン濃度下ではその増殖速度はControl(2mMグルタミン)の20%程度である。(2)等しいグルタミン濃度下ではその増殖速度は加えた血清の濃度に依存する。(3)IGF-1を投与することで、controlの10%程度の低い血清濃度下においても正常に近い増殖速度を保つことができる。 本研究により癌増殖における重要な因子のメカニズムが明らかとなり、癌治療における栄養代謝面での新しい手法の開発に道を開く研究となりえることが期待される。
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[Publications] 和佐 勝史: "Eflect of Adaptation to Low Glutamine Concentration S on Cawer Gruwth" Surgical Forum. 47. 538-541 (1996)
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[Publications] Kai Chen: "Insulin-Like Growth Factor-I Stimolateg Intestinal Epithelial Cell Prolileration and Migration" Surgical Forum. 48. 716-718 (1997)