1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 克也 神戸大学, 医学部, 講師 (30135800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安福 正男 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
上谷 良行 神戸大学, 医学部, 助教授 (40168620)
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Keywords | artificial placenta / ECMO / 胎児肺成熟 / サーファクタント |
Research Abstract |
胎児手術のback-up systemや胎児研究のモデルとして胎児ECMOの研究を進めてきた。今回胎児ECMO(呼吸循環補助)下に水中保育した胎児肺の成熟の可能性について病理学的、生化学的に検討した。 【方法】在胎日数120日前後の山羊胎児を帝王切開にて娩出し、臍帯動静脈を利用したA-VECMOを開始した後、乳酸化リンゲルを充満した40℃の恒温槽に胎児を10〜15cm沈めて保育を開始した。安定しところで、気管下部にカテーテルを留置し気管上部を結紮してその連絡を中断した。気管肺胞液、肺組織における サーファクタントの指標として、レシチン(%PC)、飽和レシチン(%DSPC)を測定し、また、肺湿重量、乾燥肺重量、肺体重比も測定した。胎児ECMO例と非施行例(コントロール)において比較検討した。また、胎児呼吸様運動(FBM)も観察した。 【結果】56時間以上潅流できた7例について検討した。1)在胎日数122〜126日(124.4*1.3日)2)体重1.9〜2.1kg(平均2.0*0.1kg)3)灌流時間56〜237時間(平均119.4*57.5時間)4)気管肺胞液中%PCコントロールと対比して2日目まで低値であったが、5日目にが高値となり、上昇していく傾向を示した。5)肺組織中%PCではコントロールと比較して灌流群はわずかに増加した。%DSPCはコントロールと対比して灌流群で増加した。6)湿肺重量ではコントロールに比較して灌流群で重量は上昇した。乾燥肺重量はコントロールと対比して灌流群で上昇した。湿肺体重比、乾燥肺体重比ではコントロールより灌流群でやや大であった。7)FBMについて mature typeのFBMが観察されたのは、気道内圧をモニターした5例中3例であった。 【結論】胎児はECMOによる水中保育下でも気管肺胞液や肺組織でサーファクタント成分が増加し、乾燥肺重量もコントロールと対比して増加した事実から、胎児ECMOにおいて胎児肺の成熟が可能なことが示唆された。 artificial placenta ECMO 胎児肺成熟 サーファクタント
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